専門看護師とは、患者およびその家族に対して高い水準の専門看護技術を持ち、保健医療福祉の発展と看護学の向上を目的とする看護師のことを言います。
日本看護協会と日本介護系大学協議会と連携して運営している資格になります。
専門看護師の特徴
英語名はCertified Nurse Specialistになり、CNSと略されることもあります。
専門看護師とは
専門看護師は現在13分野ある看護分野の特定分野の専門家として質の高い看護技術を持っていると認められている看護師です。
似たような資格に認定看護師と言う資格がありますが、認定看護師が患者に対して質の高いケアを行うのに対し、専門看護師は患者だけに限らずその家族、または地域全体の看護をよりよくすると言った広い範囲で活躍します。
専門看護師の看護分野は以下13分野になります(2018年2月21日現在)。
- がん看護(Cancer Nursing)
- 精神看護(Psychiatric Mental Health Nursing)
- 地域看護(Community Health Nursing)
- 老人看護(Gerontological Nursing)
- 小児看護(Child Health Nursing)
- 母性看護(Women’s Health Nursing)
- 慢性疾患看護(Chronic Care Nursing)
- 急性・重症患者看護(Critical Care Nursing)
- 感染症看護(Infection Control Nursing)
- 家族支援(Family Health Nursing)
- 在宅看護(Home Care Nursing)
- 遺伝看護(Genetics Nursing)
- 災害看護(Disaster Nursing)
そして専門看護師の役割は以下になります。
- 個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。(実践)
- 看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。(相談)
- 必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。(調整)
- 個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決をはかる。(倫理調整)
- 看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。(教育)
- 専門知識及び技術の向上並びに開発をはかるために実践の場における研究活動を行う。(研究)
看護師は全体として人手不足だと言われていますが、現在活躍している看護師は100万人以上と多く、その中で他の看護師との差別化を図るには、専門的知識を高めると言うのは、医療関係者と言う観点から見ても非常に有効な手段であると言えます。
看護全体をマネジメントするベテラン向きの資格
先の項目で認定看護師について少し紹介しましたが専門看護師は認定看護師よりもっと広い視野で看護業界を考えるリーダー的な看護師と言えます。
自分の専門分野に関し、現在の看護をよりよくするにはどうすればいいかなどと言ったことを考えるマネージャー的な存在であるため、長く働いていてこれからもっと看護をよくしていきたいと考えているベテラン看護師とは非常に相性の良い資格と言えるでしょう。
もちろん若い方であっても看護をもっとよくしていきたいと言う熱い志がある方にとってはとても相性が良い資格と言えます。
専門看護師はかなりレア!希少性が高い
専門看護師は取得の難しさもあって人数がかなり少なく、全国で2000人程度しか存在しないかなりレアな存在になります。
最も多いがん看護専門看護師でも1000人に満たず、災害看護専門看護師ですと全国で8人しか存在しません。(※人数は2017年12月のデータです)
病院のHPなどに専門看護師として掲載することで、看護の専門性を広く知らせることができるため転職などにも有利になるかもしれませんね。
専門看護師になるには
指定の看護系大学院修士課程を修了し、認定審査(書類審査・筆記試験)に合格することで専門看護師として活躍できます。認定を受けるには条件がありますので確認してください。
またこの資格は5年ごとに更新があります(看護実践の実績、研修実績、研究業績等書類審査)。
専門看護師になるための前提条件
専門看護師は定められた実務経験がある必要があります。
- 日本国の看護師の免許を有すること
- 看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること
- 実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること
単位数は2020年から38単位になりますが2023年までは26単位で申請可、2024年から完全に38単位になります。
大学院に通わなければならないのが最大の難関
よく認定看護師との比べられる専門看護師ですが、資格の取得のしやすさは圧倒的に認定看護師の方に軍配があがります。
分野によっては指定大学院が全国に3つしかないものもあったりするので、指定大学院が遠かった場合、通っている間の2年間はアルバイトなどで生活することになるでしょう。
また大学院の受験勉強も必要ですし、大卒の資格がない方は先に放送大学などで大卒資格を取得する必要があります。そして当然それに伴う学費もかかってきます。
6か月の教育課程で取得できる認定看護師に比べると、やはり専門看護師はハードルが高いと言えます。
まとめ
以上が専門看護師についてのまとめになります。
資格を取得するまでのハードルがかなり高いこともあり、非常に希少性の高い存在となっている専門看護師ですが、よりよい看護を考えたい方にとっては頼もしい資格となるでしょう。
少しでも参考になれば幸いです。