介護福祉士とは、寝たきりのお年寄りや障がいを持った人たちの自立を助けるために食事や入浴、排せつ、衣服の着脱などの日常生活を専門的知識と技術によって援助することを職務とする名称独占の国家資格です。ケアワーカーとも呼ばれます。
介護福祉士の特徴
社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士は福祉系三大国家資格と呼ばれます。
介護福祉士とは
介護の仕事は現在、介護福祉士の資格がなくてもできるのですがこの介護福祉士の資格は介護の最前線で活躍するための資格であり、社会的地位の向上につながります。
お年寄りの介護だけでなく、介護者の家族に介護方法を具体的に指導したり、介護によるストレスなど精神面の支えになることも大切な仕事であり、このとき確かな介護の専門知識を持つ介護福祉士は頼りになる存在になります。
さらに看護師や保健師など関連分野のスタッフと連携を図り、利用者や介護者の医療・保健面の支援も行います。
就職や転職、再就職にも強い
ご存知現在日本は超高齢化社会なため、今後も介護の仕事はますます需要が高まります。
介護福祉士の資格は確かな介護スキルの証明になるため就職・転職・再就職時に高く評価されることは間違いありません。
また一度取得すれば生涯有効なため一生ものの資格になるでしょう。
介護福祉士の強み!確実にキャリアアップ
介護福祉士を目指すのは現場でのリーダー的存在を目指すためだけの資格ではありません。介護事業所には一定数以上の介護福祉士を配置するとサービス提供体制強化加算が取れると言う強みがあります。
サービス提供体制強化加算とはサービスの質が一定以上に保たれている介護事業所を評価するために2009年に設けられたものです。
その事業所に介護福祉士がどの程度の割合で設置されているか・勤続年数3年以上の者がどの程度の割合でいるのかと言う基準があり、その要件を満たし、都道府県に報告して認められた事業所はサービス利用料金の「基本費用」に上乗せして「サービス提供体制強化加算」を請求できます。
このため介護福祉士は積極的に採用される傾向にあります。
また訪問介護には1つの事業所に、利用者40人に対して必ず1人以上サービス提供責任者を設置しなければならないと義務付けられています。
サービス提供責任者は利用者の状況を見てサービス内容を調整したり、ケアマネージャーや医師、看護師などと関わりを持ったりするなど、責任の重い役割を担う者です。
このサービス提供責任者は介護職員初任者研修して実務経験が3年以上の方でもなることはできるのですが、サービス提供責任者が介護福祉士の資格を持っていないと介護保険の点数が減ってしまいます(事業所の報酬が減ります)。
ステップアップは勿論、ビジネスマンへも
介護の仕事と言えば力を使う仕事だとお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、介護福祉士の上位資格であるケアマネジャーの仕事はデスクワークが中心の仕事です。このケアマネージャーの国家試験受験資格のひとつに介護福祉士であることが挙げられます(実務5年以上+日数900日以上)。
ケアマネージャーの国家試験受験資格は2018年から大幅に変わり、今後は無資格者や介護職員初任者研修修了者の実務経験は受験資格として認められなくなるのですが、介護福祉士の実務経験については変更がありませんので、ケアマネージャーへの転身も選択肢のひとつになります。
またこれまで紹介したように老人ホームから訪問介護まで介護福祉士が必要とされる場所は多く、介護保険がパンクしない限りは今後も介護ビジネスは拡大していくと考えられます。
介護福祉士と言う資格を武器に簿記など会計や経営系の勉強も重ね「ケアビジネスマン」になっていくことも決して不可能ではないでしょう。
介護福祉士希望者は激減している
後半で詳しく紹介しますが介護福祉士の資格取得までのルートが変更されたことで、現在介護福祉士希望者が激減しています。
介護福祉士を目指す多くの方が実務経験を積んだ上で国家試験を受験すると言うルートだったのですが、このルートが3年以上の実務経験にプラスして「実務者研修450時間」が必要となりました。
このためか受験者数が半分にまで減ってしまってしまいました。
年収は300万円程度
介護福祉士の年収は300万円程度であると言われています。
資格手当がつくところもありますが、全体として決して高い水準とは言えません。
他資格への影響
介護福祉士としての実務経験が5年以上あれば介護支援専門員(ケアマネージャー)試験の受験資格を満たします。
介護福祉士になるには
国家試験に合格し、登録することで介護福祉士になれます。もしくは指定された養成施設を卒業することで介護福祉士になることもできますが2022年度以降の卒業生からは国家試験を受験しなくてはなりません。
国家試験には受験資格があります。
受験資格
介護福祉士の受験資格については大きくわけて3つです。
- 指定養成施設2年以上(1800時間程度)⇒国家試験⇒介護福祉士
- 福祉系高校(1800時間程度)⇒国家試験⇒介護福祉士
- 実務経験3年以上+実務者研修450時間⇒国家試験⇒介護福祉士
指定養成施設卒業だけで介護福祉士の資格が得られるのですが、2022年度以降の卒業生からは国家試験を受験しなければならず、すべてのルートにおいて国家試験に合格することが必要となりました。
また先ほども紹介しましたが最も多いルートである実務経験での受験資格は実務者研修450時間を受けることが国家試験受験の条件になりました。
実務者研修とは介護現場で活躍するために必要な知識と技術を学ぶ研修のようなもので、これまでは医師や看護師にのみ認められていたタンの吸引などの医療行為も学ぶことになります。
実務者研修の時間450時間ですが、持っている資格によって免除があります。
合格率は60%程度
受験資格を得るまでが大変な類の国家資格のためか、介護福祉士の国家試験合格率自体は比較的高いと言えます。
試験の合格点は総得点の60%程度の得点+αと言われていますのできちんと勉強しておくことが大切です。
まとめ
以上が介護福祉士についての情報のまとめになります。
現在介護職についている方、今後介護職に就こうと考えている方はいずれ受験を考えることになる、もしくは必ず視野に入れておいた方が良い大切な資格になります。
少しでも参考になれば幸いです。