理容師とは、容姿を整えるために頭髪の刈り込みや洗髪、ひげそりなどを行うことのできる業務独占の国家資格です。
この記事では理容師の現状や年収、将来性から美容師と理容師の違い、理容師になる方法などを詳しく解説していきます。
理容師の特徴
美容師同様、独立開業も十分可能な資格ですがその際には管理理容師の資格が必要になることがあります。
理容師と美容師の違い
美容師は美容師法にて美容を業として行う者のことと定められています。「美容」とは、パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることを指し、美容師の免許を持たないものは美容を業として行うことはできません。
一方理容師は理容を業とする者のことを指し、理容とは「理容とは、頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること」を意味します。
理容師法にて理容師でなければ理容を業として行うことはできないと定められており、これは理容師の独占業務になります。
美容師は「容姿を美しくする」ことが仕事で、理容師は「容姿を整える」ことが仕事になると言うわけです。美容院は美しくなるために、理容院は清潔感アップのために行くと言ったところでしょうか。
また理容師と美容師の違いで最も大きな違いが「顔剃りができるかどうか」と言う部分になります。
美容師は原則カミソリを使用してはならないとされており、顔剃りを行えるのは原則理容師のみとなります。ただし美容師でもメイクに必要な場合の顔剃りはOKとされています。
と、ここまでに紹介したことは大まかな違いです。実際は理容師法・美容師法にてもっと厳密に定められています。
例えば「男性のカットのみ」を美容師が行うことは違法であり、理容師はOKとなっています。また「カット+パーマ」は理容師の場合は男性には行うことができますが女性に行うことは違法になります。
かなり昔の法律で定められたものであり、かつては男性は理容院・女性は美容院と言うイメージがあったこともあり問題なかったのかもしれませんが、現在では男性が美容院に行くことはまったく珍しいことではありませんし、女性が理容院で顔剃りをすることもありますので、なんだか意味不明な規定に見えてしまいます。
1000円カットで有名なQBハウスを運営するキュービーネット株式会社は政府に対してこれらの規制緩和の要望書を提出しており、将来的には理容師・美容師の資格制度が統一される日も来るかもしれません。
理容師の年収や将来性は
理容師の年収は300万円前後と言われています。日本で働く人の平均年収が400万円であることを考えると低めの水準と言えるでしょう。
また理容師の数は減少しており、若い理容師は少なく全体として理容師の高齢化が進んでいます。
と、現状では理容師はかなり厳しい職業のように見えますが、もちろん利点もあります。
まず理容師と言う職業は生活に必要な職業ですので人間が社会的に生活している限りなくなることはないでしょう。機械化が難しい仕事ですので突然AIに全部仕事を奪われると言うことも考えづらいです(ただし髪をカットするロボットの研究はされています)。
また来店することが難しいお年寄りや障がい者の方のお宅や病院を訪問してサービスを行う「ケア理容師」と言う制度も誕生しており、これから需要が高くなっていくと考えられます。
さらに現状を別視点で考えるのであれば、理容師の高齢化が進んでいるため若い方にとってはライバルも少なくチャンスとも言えます。
実際最近では若い理容師によるオシャレな床屋やスタイリッシュな理容院も誕生しており、男性に人気のヘアスタイルであるツーブロックをはじめとし、ソフトモヒカンやマッシュ、オールバックなどのヘアスタイルにも対応する理容師も増えてきています。
一昔前は髪を比較的派手に染めてワックスで立たせるようなヘアスタイルが男性の間で流行っていましたが、近年は理容師が得意とする男らしいヘアスタイルが人気ですし、ロングブームになっているツーブロック(耳の上あたりを刈り上げて上の部分を長めに残す)に関しては学生にも社会人にも子供にも有効です。
これまでは若い男の子が思春期に突入したころには理容院から美容院にシフトしていく傾向があったかもしれませんが、こうしたスタイリッシュな理容院が増えていくことで状況が変わって行くことも考えられます。
理容師業界が今後躍進していく可能性も十分に考えられるため、若い方には充分チャンスが残されていると言えるかもしれません。
理容師になるには
理容師養成施設にて2年~3年必要な知識および技能を修得し、国家試験に合格する必要があります。
まずは学校を卒業!通信も可です
理容師国家試験を受験するには養成施設を卒業する必要があります。
専門学校の昼間・夜間の場合は2年間、通信教育の場合は3年間学ばなければなりません。
養成施設の入学資格の多くが「高卒以上」となっており、中卒の方は高認(高等学校卒業程度認定試験)に合格するなど一工夫が必要になることもあります。もしくは通信であれば中卒でも可としているところも多いです。
国家試験の合格率
理容師国家試験は年2回行われています。
前期の合格率は50%~60%、後期の合格率は60%~70%となっています。
理容師国家試験はシェービングが難関と言われており、美容師国家試験の合格率より低めになっています。
まとめ
以上が理容師についての大まかなまとめになります。
現状としては厳しい部分も目立つ理容師ですが、ライバルが美容師に比べて少ないと言う状況を有利に生かせるかどうかで将来が変わりそうです。
少しでも参考になれば幸いです。