防火設備検査員とは建築物の感知器連動で動く防火扉、防火シャッター等の防火設備を定期的に検査し、その結果を特定行政庁に報告することができる国家資格です。
防火設備検査員の特徴
平成28年に建築基準法が改正されたことにより創設された新しい資格です。
防火設備検査員とは
防火扉や防火シャッター等の民間建築物に設けられた防火設備で特に重要なものと定められているものに関しては、安全確保のために定期的に検査を行い、その結果を特定行政庁に報告しなければならないと建築基準法で定められています。
この検査・報告を行うことができるのが防火設備検査員になります。
また一級建築士・二級建築士もこの検査・報告を行うことができます。
平成28年に創設された新しい資格ですが平成25年に発生し死者10名、負傷者5名を出した福岡市整形外科医院火災が原因となり創設されたものです。
この火災では防火扉が当時認められていない旧式のものであり、さらに扉の取っ手と階段の手すりがロープで結ばれており、閉じない状態にされていたそうです。
国土交通省は防火扉の点検を行っていなかったことを重視し、建築基準法改正する方針を打ち出しました。
他資格への影響
防火設備検査員の有資格者は消防設備点検資格者の受講条件を満たします。
消防設備点検資格者は受講することで取得できる資格ですが、受講できる条件がかなり限定されています。防火設備検査員はその条件を満たす数少ない資格のひとつです。
また防火設備検査員の資格があれば昇降機等検査員の建築学概論の科目を申請により免除することが可能です。
防火設備検査員になるには
学科講習と実技講習を受講し、修了考査に合格することで取得できます。受講条件があるので要確認です。
受講資格
学歴・経歴により異なりますが、受講資格として基本的に2年~11年の実務経験が必要になります。
- 建築学・機械工学・電気工学の課程の大学を卒業し、防火設備に関する実務経験2年以上
- 建築学・機械工学・電気工学の課程の3年制短期大学(夜間を除く)を卒業し、防火設備に関する実務経験3年以上
- 建築学・機械工学・電気工学の課程の2年制短期大学または高等専門学校を卒業し、防火設備に関する実務経験4年以上
- 建築学・機械工学・電気工学の課程の高等学校または中等教育学校を卒業し、防火設備に関する実務経験7年以上
- 上記以外の学歴で防火設備に関する実務経験11年以上
- 建築行政に関する実務経験2年以上(防火設備に関するものに限る)
- 消防吏員としての実務経験5年以上(火災予防業務に関するもの)
- 感知器に関して消防設備点検資格者としての実務経験5年以上
- 感知器に関しての甲種消防設備士・乙種消防設備士としての実務経験5年以上
- 上記と同等以上の知識および経験を有する者
講習の内容
学科講習と実技講習で構成されており、学科講習の修了考査に合格した者だけが実技講習を受講することができます。
学科講習の内容
2日間かけて行われます。
1日目
建築学概論
防火設備定期検査制度総論
防火設備に関する建築基準法令
防火設備概論(防火戸等に関するもの)
2日目
防火設備概論(連動機構に関するもの)
防火設備に関する維持保全
防火設備定期検査業務基準
修了考査
1日目の建築学概論の科目は特定建築物調査員、建築設備検査員、昇降機等検査員、建築設備士は申請すると受講を免除することができます。
また2日目の防火設備概論は防火シャッター・ドア保守点検専門技術者の有資格者等、防火設備に関する適切な教育を受け、一定の防火設備に関する実務経験があれば申請することで免除することができます。
ただしどちらも免除による受講料減額はありません。
学科講習の修了考査に合格すると実技講習を受講することができます。
実技講習
1日で終了します。学科講習のように修了考査はなく、検査報告書の提出で実技講習を修了したものとみなされます。
オリエンテーション(15分)
テキストとスライドを用いた講習
実技講習内容の事前説明
実機を用いた実技講習(実機1題を8名2組で使用)
検査報告書の提出
まとめ
以上が防火設備検査員に関するまとめになります。
他の建築設備等検査員と違い、学科と実技と2つの講習があることが特徴と言えますね。
少しでも参考になれば幸いです。