電気通信主任技術者(伝送交換・線路)試験の難易度や科目免除
資格の鎧

電気通信主任技術者(伝送交換・線路)試験の難易度や科目免除

通信タワー

電気通信工事の場で必要となる資格です

電気通信主任技術者とは、電気通信ネットワーク全体の監督者として総務省令で定められる技術基準を遵守し、ネットワーク工事、維持または運用に関する監督、設備責任者に対して意見、助言を行うなどを行う必置資格である国家資格です。

電気通信主任技術者には「伝送交換主任技術者」と「線路主任技術者」の2つの種別があります。

電気通信主任技術者の特徴

ニーズが安定した仕事に就ける資格ではありますが難易度のわりには求人の少ない資格でもあります。

電話・携帯電話会社などで必須の資格

スマートフォンを操作するヒゲのビジネスマン

NTTなどで必置義務がある資格です

電気通信主任技術者の仕事は電気通信に係る設備の工事・維持・運用に関する監督を行い、責任者として活躍する資格です。

具体的にどのような職場で必要になるかというとNTTやKDDI、ソフトバンク、インターネットプロバイダー会社、無線会社、情報通信会社、コンピューターメーカーなど、おおよそ通信に関わる企業になります。

NTT・KDDI・ソフトバンクのような企業は電気通信事業者と言い、電気通信事業者は電気通信主任技術者を選任しなければならない電気通信事業法で定められているため、これら企業において電気通信主任技術者は必置資格となり、必要不可欠な存在になります。

第四五条 電気通信事業者は、事業用電気通信設備の工事、維持及び運用に関し総務省令で定める事項を監督させるため、総務省令で定めるところにより、電気通信主任技術者資格者証の交付を受けている者のうちから、電気通信主任技術者を選任しなければならない。ただし、その事業用電気通信設備が小規模である場合その他の総務省令で定める場合は、この限りでない。

伝送交換と線路の違い

電信柱

活躍の場が大きく異なる別々の資格です

電気通信主任技術者には「伝送交換主任技術者」と「線路主任技術者」の2種類の種別があります。

伝送交換主任技術者は電気通信事業用の伝送交換設備とそれに附属する設備の工事・維持・運用を行います。

伝送設備とは例えば私が誰かに電話にかけるとすると、その際に私と相手方とを結んで電気信号を運ぶ設備のことになります。交換設備は中継回線などのつなぎ換えを行う設備です。

要するに利用者の電話やネットがつながるようにするために電気通信事業者に設置されている設備であり、伝送交換主任技術者は局内の設備の工事・維持などを行うことが仕事です。

線路主任技術者は線路設備とそれに附属する設備の工事・維持・運用を行います。

線路設備とは電話線路であれば私たちが普段よく見る電信柱から来ていることはよく知られていますのでイメージしやすいのではないでしょうか。

伝送交換主任技術者とは異なり、線路主任技術者は電話工事会社などの責任者として活躍できる資格になります。

一見就職に強そうな資格に見えるが微妙

驚愕する猫

難易度の割に求人が少ない資格です

電気通信主任技術者は大手であるNTTやKDDI、ソフトバンクに就職できる可能性のある資格で非常に魅力的に見えがちですが実はそうでもありません

かつてはインターネットプロバイダ会社を開業する際に電気通信主任技術者の資格が必要だったこともあり求人が多かった時期もあったようなのですが現在は新たにプロバイダ会社を立ち上げようと考える人は少ないです。

電気通信主任技術者試験はけっこう難関資格なのですが、その割には求人がないと言う少々報われない状態になっています。

またそもそも電気通信主任技術者の資格はNTTなどでの実務経験を積めば試験の科目が大幅に免除されたり、もしくは全科目免除となり自動的に取得できてしまう資格でもあるため、大手通信会社への就職を狙って取得してもものすごく有利になるとは考えづらいです。

通信系の資格が欲しいと考えているのであれば一級陸上無線技術士の方が就職には強いと言えますし、電気系の資格が欲しいと考えているのであれば電気主任技術者(電験)の方が圧倒的に求人が多く就職に有利だと言えます。

テレビの撮影

陸上無線技術士はTV局等で必須!第一級は最高峰の資格ですよ

第一級陸上無線技術士・第二級陸上無線技術士はTV局や国土交通省航空局などで活躍することもできる無線従事者の中でも最高峰の資格です。
配線

電気主任技術者(電験3種) 合格率は低いが凄く役立つ資格です

電気主任技術者は電験と略され1種,2種,3種とあります。電験3種は難関試験ですが実務だけで上位資格が取れる珍しい資格かつ就職に激強です

他資格への影響

パソコンを見て考える男性

超難関の弁理士試験にも影響あり!

電気通信主任技術者の有資格者は弁理士試験の論文式筆記試験の選択科目の免除要件になっています。

また電気通信主任技術者の伝送交換主任技術者・線路主任技術者ともに無線従事者総合無線通信士海上無線通信士、そして先ほども紹介した陸上無線技術士試験の一部科目免除の対象になっています。

まず伝送交換主任技術者の資格を持っていれば以下7資格に影響があります。

総合無線通信士試験
(一級・二級)
無線工学の基礎・無線工学A免除
総合無線通信士試験
(三級)
無線工学の基礎免除
海上無線通信士試験
(一級・二級)
無線工学の基礎・無線工学A免除
陸上無線技術士試験
(一級・二級)
無線工学の基礎・無線工学A免除

次に線路主任技術者の資格があれば以下7資格に影響します。

総合無線通信士試験
(一級~三級)
無線工学の基礎免除
陸上無線技術士試験
(一級・二級)
無線工学の基礎免除
海上無線通信士試験
(一級・二級)
無線工学の基礎免除

電気通信主任技術者になるには

試験に合格すればOKです。受験資格は特になく誰でも受験できます。

また養成課程を修了や総務大臣による認定で取得することも可能になりますが、養成課程は府立南大阪高等職業技術専門校の1校(平成29年の資料より)のみであり、総務大臣による認定は現状ほぼないと言えます。

試験の合格率から見る難易度は結構高めです

難しいルービックキューブ

難易度は高いです

電気通信主任技術者試験の合格率は近年20%前後になっています。

電気通信技術者試験は第一級陸上無線技術士と同程度の難易度と例えられることがありますが、第一級陸上無線技術士試験は23種類ある無線従事者の中でも最高峰の資格であり、試験の中でも無線工学の科目は23種の無線従事者の中で最難関と言われている資格です。

難易度は高く、難関資格と言えます。

試験の内容

猛勉強する人

伝送交換も線路も4科目です

電気通信主任技術者試験の科目は伝送交換主任技術者も線路主任技術者も4科目です。

伝送交換主任技術者の場合は「法規」「伝送交換設備及び設備管理」「専門的能力」「電気通信システム」の4科目になります。

伝送交換の「専門的能力」の科目は「伝送」「無線」「交換」「データ通信」「通信電力」の中から1つ選択します。

線路主任技術者の場合は「法規」「線路設備及び設備管理」「専門的能力」「電気通信システム」の4科目です。

線路の「専門的能力」の科目は「通信線路」「通信土木」「水底線路」の中から1つ選択します。

一部科目免除・全科目免除について

サイバースーツを着て高速移動する女性

4科目中3科目免除や全科目免除になることもあります

電気通信主任技術者試験には科目免除が存在します。

まず科目合格制度が導入されており、一度合格した科目は3年間(6回受験可)有効となります。

その中でも電気通信システムと法規の2つの科目は伝送交換で合格したものが線路でも有効になります。逆に線路で合格したものも伝送交換で有効です。

その他、持っている資格や実務経験の年数によって4科目中3科目が免除されたり全科目免除となることもあります。

伝送交換主任技術者を受験するとき

まずは伝送交換試験の他資格による科目免除からまとめます。工事担任者などの関連資格も影響しますよ。

ここから紹介する伝送交換主任技術者試験における実務経験とは「事業用伝送交換設備」の実務経験のことになります。

線路主任技術者
(実務経験なし)
システム・法規免除
線路主任技術者
(実務経験2年)
システム・専門・法規免除
線路主任技術者
(実務経験4年)
全科目免除
工事担任者
(アナログ第三種,デジタル第三種,AI第三種,DD第三種を除く)
システム免除
第一級陸上無線技術士 システム・専門免除
第一級総合無線通信士
第一級海上無線通信士
第二級陸上無線技術士
システム免除

次に学歴による免除をまとめます。電気通信工学に関する学科を修めて卒業していれば場合によっては強力な免除があります。

大学等で電気通信工学に関する学科を修めて卒業+実務経験1年 システム免除
大学等で電気通信工学に関する学科を修めて卒業+実務経験3年 システム・専門免除
大学等で電気通信工学に関する学科を修めて卒業+実務経験5年
※指導監督的実務経験1年以上を含む
システム・専門・設備免除
短大・高等専門学校等で電気通信工学に関する学科を修めて卒業+実務経験2年 システム免除
短大・高等専門学校等で電気通信工学に関する学科を修めて卒業+実務経験5年 システム・専門免除
短大・高等専門学校等で電気通信工学に関する学科を修めて卒業+実務経験8年
※指導監督的実務経験1年以上を含む
システム・専門・設備免除
高卒・中等教育学校卒+実務経験4年 システム免除
高卒・中等教育学校卒+実務経験10年 システム・専門免除
高卒・中等教育学校卒+実務経験16年
※指導監督的実務経験1年以上を含む
システム・専門・設備免除
認定学校の単位修得者 システム免除

線路主任技術者を受験するとき

次に線路主任技術者試験の他資格による科目免除をまとめていきます。

ここから紹介する線路主任技術者試験における実務経験とは「事業用線路設備」の実務経験のことになります。

伝送交換主任技術者
(実務経験なし)
システム・法規免除
伝送交換主任技術者
(実務経験2年)
システム・専門・法規免除
伝送交換主任技術者
(実務経験4年)
全科目免除
工事担任者
(アナログ第三種,デジタル第三種,AI第三種,DD第三種を除く)
システム免除
第一級陸上無線技術士 システム免除
第一級総合無線通信士
第一級海上無線通信士
第二級陸上無線技術士
システム免除

次に学歴による免除です。電気通信工学(土木工学を含む)に関する学科を修めて卒業していれば実務経験によっては強力な免除があります。

大学等で電気通信工学(土木工学を含む)に関する学科を修めて卒業+実務経験1年(土木工学履修者は2年) システム免除
大学等で電気通信工学(土木工学を含む)に関する学科を修めて卒業+実務経験3年(土木工学履修者は5年) システム・専門免除
大学等で電気通信工学(土木工学を含む)に関する学科を修めて卒業+実務経験5年(土木工学履修者は7年)
※指導監督的実務経験1年以上を含む
システム・専門・設備免除
短大・高等専門学校等で電気通信工学(土木工学を含む)に関する学科を修めて卒業+実務経験2年(土木工学履修者は4年) システム免除
短大・高等専門学校等で電気通信工学(土木工学を含む)に関する学科を修めて卒業+実務経験5年(土木工学履修者は8年) システム・専門免除
短大・高等専門学校等で電気通信工学(土木工学を含む)に関する学科を修めて卒業+実務経験8年(土木工学履修者は11年)
※指導監督的実務経験1年以上を含む
システム・専門・設備免除
高卒・中等教育学校卒+実務経験4年 システム免除
高卒・中等教育学校卒+実務経験10年 システム・専門免除
高卒・中等教育学校卒+実務経験16年
※指導監督的実務経験1年以上を含む
システム・専門・設備免除
認定学校の単位修得者 システム免除

まとめ

コーヒーを飲む男性

いかがでしたか?

以上が電機通信主任技術者(伝送交換・線路)についてのまとめになります。

難関資格のわりに求人が少ないと言う難点がある資格ですのでまったくの畑違いの人が新たに取得して就職・転職に役立たせようとするとなると非常に微妙な資格になります。

しかし電気通信機器は現在の私たちの生活に欠かせないものであり、需要は今後も安定する資格ですのでこの業界で生きていくことを考えている方には非常に重要な資格です。