高圧ガス製造保安責任者とは、高圧ガスを製造する事業所において、その製造する高圧ガスについて、保安上の知識と経験に基づき、その製造に係る保安についての職務を行う必置義務のある国家資格です。
高圧ガス製造保安責任者の特徴
製造現場の災害を防止する必置資格になります。
高圧ガス製造保安責任者の種類
一口に高圧ガス製造保安責任者と言っても複数の種類があります。
まずは化学。化学の高圧ガス製造保安責任者は甲種・乙種・丙種の3種類があります。
次に機械。機械の高圧ガス製造保安責任者は甲種と乙種の2種類です。
最後に冷凍機械。冷凍機械は第1種・第2種・第3種の3種類あります。
化学は丙種<乙種<甲種、機械は乙種<甲種の順に上位資格となり、冷凍機械は第3種<第2種<第1種の順に上位資格となります。
免状の種類に応じて保安統括者、保安技術管理者、保安係員の職に就くことが可能であり、上位資格ほど制限がなく保安の仕事に携わることができます。ただし選任されるには実務経験が必要です。
必置資格!活躍できる場所は多い
高圧ガスによる災害を防止するために高圧ガスを製造する業務を行う事業者は高圧ガス製造保安責任者を、1日の冷凍能力20トン(フルオロカーボン冷媒では50トン)以上の冷凍設備を設置して高圧ガスを製造する事業所は冷凍機械の高圧ガス製造保安責任者を配置しなければならないと定められている必置資格になります。
高圧ガス製造保安責任者の主な活躍の場所はプロパンガス製造所になります。他には化学工場、LPガス充填所、自動車工場、パン工場などさまざまな工場などで活躍することが可能です。
ただし高圧ガス製造保安責任者の資格を取得しても実務経験がなければ保安係員に選任できないため、受験者のほとんどがすでにそこで仕事をしていて必要になったから取りに行くと言う方になります。
そのため未経験の方が就職に強そうだと取りに行くには若い方なら良いかもしれませんがある程度の年齢であれば再就職目当ての取得はおすすめできません。
しかし高圧ガス製造保安責任者を歓迎する求人は比較的多いですので、すでに経験がありこの資格を持っていると転職には強いと言えるでしょう。
他資格への影響
高圧ガス製造保安責任者の中で甲種化学・甲種機械・第1種冷凍機械の免状を持っていると社会保険労務士試験の受験資格を得られます。
高圧ガス製造保安責任者になるには
試験に合格し、経済産業大臣もしくは都道府県知事に申請することで高圧ガス製造保安責任者の免状を取得できます。受験資格は特になく誰でも受験できます。
合格率は国家試験にしては高め
高圧ガス製造保安責任者の化学の合格率は甲種が55%前後、乙種が45%前後、丙種は40%~50%あたりになっています。
機械は甲種が50%前後、乙種が40%前後とこちらも国家資格にしては高めの水準です。
冷凍機械は第1種が60%前後、第2種が45%前後、第3種が50%前後となっています。
基本的に既に業界に勤務されている方が受ける試験と言うこともあったり、強力な科目免除が存在していることもあったりと言うことから国家資格にしては高い合格率になってます。そしてこの傾向は長い間変わっていません。
試験の内容と科目免除
高圧ガス製造保安責任者試験の科目は第3種冷凍機械以外のものは「法令」「保安管理技術」「学識」の3科目になり、第3種冷凍機械は「法令」「保安管理技術」の2科目になります。
また高圧ガス製造保安責任者試験には一部科目免除制度があります。
高圧ガス保安協会が実施する「高圧ガス製造保安講習」を受けることで試験科目の「保安管理技術」と「学識」が免除になり、受験する科目は「法令」のみになります。
講習は甲種化学・機械、第1種冷凍機械の場合は年1回、それ以外は年2回実施されており、3日間かけて行われるものになります。
限られた時期にしか実施されないことや3日間も行われることから時間的に厳しい方もいらっしゃるかもしれませんが、一部科目免除された方とそうでない方の合格率はかなり異なってくるようですのでできるだけ受講して試験に臨みたいところです。
まとめ
以上が高圧ガス製造保安責任者に関するまとめになります。
未経験から取得してもあまり活躍の場はないかもしれませんが、既にこの業界で働いていらっしゃる方であれば取得しておきたい資格になります。
少しでも参考になれば幸いです。