臨床心理士とは、精神的に悩む人の相談にのって解決へと導き、さらに心の健康をコンサルティングすると言う、カウンセラーまたはサイコセラピストとも呼ばれる「心の専門家」であることを証明する民間資格です。
英語名はClinical Psychologist(CP)もしくはCertified Clinical Psychologist(CCP)になります。
臨床心理士の特徴
心理系の民間資格はたくさんありますが臨床心理士はその中で最もステータスの高い資格と言えます。
臨床心理士の仕事内容
臨床心理士の資格は「心の専門家」であることを証明し、学校や保健所、精神科や心療内科などで活躍することができます。
精神科医や神経科医と違い、外科手術や投薬の指示を行うことはできませんが、近年うつ病の増加や震災の被災者や犯罪被害者のPTSD(心的外傷後ストレス障害)などが問題になっており、臨床心理士の需要は高くなっていると言えます。
そんな知名度の高い資格ですが臨床心理士は国家資格ではなく民間資格です。
そもそも現在の日本に心理職の国家資格は存在しておらず、かなり前から「医療心理師」と言う国家資格を作ろうと言う動きがあるのですが今なお実現には至っていない状況です。
また医療心理師と言う資格の新設セットにして、臨床心理士の国家資格への昇格も検討されているのですが、何と言いますか…日本医師会など様々な団体から反対があったりとなかなかうまくいかないようです。
需要は高いが現在は少々不安定気味
心の問題が認知されるようになり、臨床心理士の社会的ニーズ自体は高くなっていると言えますし、これからもますます必要になっていくと考えられます。
ただし現時点では待遇はそこまでよくはないと言えます。
臨床心理士が主に活躍する場所は学校や保健所、精神科や心療内科、各種福祉機関や相談所、学校カウンセラーなどになりますが就職し常勤として働くことが簡単ではないようで、いくつかの病院や相談所をかけもちしたりする臨床心理士も多いです。
有名で評価の高い資格ではあるのですがやはり国家資格化されていない面で少し弱いと言えます。年収もかなりバラつきがあり、アルバイト程度の年収の方もいれば1000万円以上稼ぐ方もいると様々です。
ハリウッド映画などではカウンセリングの場面が登場することも多く、それほどアメリカではメジャーになっている心理カウンセラーですが、日本はようやく心の問題が認知された程度ですので、徐々に増加しつつあるとは言えどもフリーランスや独立開業はまだまだメジャーではありません。
しかし「日米社会20年遅延説」と言う説もあります。アメリカで起こった社会現象などが20年後に日本にやってくると言う説ですが、もしかするとアメリカと同様にカウンセリングが日本でメジャーになる日も来るかもしれません。
臨床心理士になるには
試験に合格すればOKですが受験資格がありますので確認が必要です。
受験資格はかなり厳しい
臨床心理士試験の受験資格は以下になります。
- 指定大学院(第1種or第2種)を修了し、所定条件を充足している者
- 大学院にて臨床心理学またはそれに準ずる心理臨床に関する分野を専攻する専門職学位課程を修了した者
- 諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴および日本国内における2年以上の心理臨床経験を有する者
- 医師免許取得者で取得後2年以上の心理臨床経験を有する者
大学院を受験するには4年制大学を卒業している必要がありますので必然的にかなりお金がかかってきます。社会人になってから目指すには金銭的にかなり厳しくなることを理解しておく必要があります。
大学院に入るまでの4年制大学は心理系学部でなくてもOKですが、心理学部や教育学部などの心理系の大学出身者の方が入学に関しては有利になるでしょう。
試験の内容
試験は資格審査と呼ばれ、筆記試験(マークシート+論文式)と面接をパスする必要があります。
資格審査合格後、資格認定証書交付手続きを完了してIDカードを発行されると言う手続きが完了した段階で、日本臨床心理士名簿一覧に登録されて臨床心理士として認められます。
合格率は60%前後となっているためものすごく難関と言うわけではありません。
まとめ
以上が臨床心理士に関するまとめになります。
日本国内で心理職に就いて活躍したいと考えている方にとって現在もっとも現実的な資格と言えますが、大学院までいかなければならないため人によってはかなりハードルが高くなってしまう資格です。
少しでも参考になれば幸いです。