浄化槽設備士とは、浄化槽の設置工事の際に必ず必要となる必置資格である国家資格です。
浄化槽設備士の特徴
浄化槽設備工事を行う業者は浄化槽設備士の配置が義務付けられています。
浄化槽工事業者にて必置義務あり
し尿および雑排水の公共水域への放流は終末処理下水道や法定の処理施設による場合を除いて浄化槽による処理を経た後でなければならないと定められています。
この浄化槽の設置工事には浄化槽設備士による実地の監督が必要であり、浄化槽工事業者は事務所ごとに浄化設備士を配置しなければならないと法律で定められています。
このように浄化槽設備士は必置資格であるため浄化槽工事業界においては取得しておくことでかなり強い味方になると言える資格になります。
主な就職先など
就職先は浄化槽工事を行う設備会社、建設会社などになります。
必置資格は就職に強いものが多いですが、基本的に浄化槽設備士の資格は実務経験が必要な資格ということもあり、就職向けの資格と言うよりは既に働いていらっしゃる方が取得するプロ資格であると言えます。
とは言え同系の業者への転職の際には浄化槽設備士の資格は有利に働いてくれるはずです。
他資格への影響
浄化槽設備士の資格を持っていると社会保険労務士試験の受験資格を満たします。
浄化槽設備士になるには
試験に合格するか講習を受講することで取得できます。どちらも受験資格・受講資格がありますので必ず確認する必要があります。
浄化槽設備士試験の受験資格
大学の指定学科卒業の方は卒業後1年以上の実務経験、指定学科以外を卒業した方は1年6か月以上の実務経験があることで受験資格を満たします。
短大・高等専門学校の指定学科を卒業した方は卒業後2年以上の実務経験、指定学科以外を卒業した方は3年以上の実務経験があることで受験資格を満たします。
高等学校卒業の方は指定学科卒であれば3年以上、指定学科以外であれば4年6か月以上の実務経験があることで受験資格を満たします。
上記以外の学歴である方は8年以上の実務経験が必要になります。
ちなみに指定学科とは土木工学、農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地、造園、都市工学、衛生工学、電気工学、機械工学、建築学に関する学科になります。
また1級または2級の管工事施工管理技士技術検定に合格した方も受験資格を満たすことが可能です。
他には1級または2級の配管技能士(建築配管作業)も受験資格を満たします。ただし平成16年度以降の2級配管技能士(建築配管作業)は4年以上の実務経験が必要です。
浄化槽設備士講習の受講資格
浄化槽設備士資格は講習を受講することで取得することも可能になります。
ただし浄化槽設備士講習を受講するには1級または2級の管工事施工管理技士の有資格者である必要があります。
試験の合格率は30%前後
試験の合格率は25%~35%あたりになりますので、きちんと勉強していれば合格できる範囲の資格と言えるでしょう。
とは言え難易度は決して低くはないですので、できれば管工事施工管理技士経由の講習を受講することで取得したいところです。
ただし講習の受講料は86,700円(平成29年度)と非常に高額です。ちなみに試験の受験料は22,500円(平成29年度)です。
試験の内容・講習の内容
試験は学科試験と実地試験があります。
学科試験は4肢択一形式の試験で科目は「機械工学・衛生工学等」「汚水処理法等」「施工管理法」「法規」になります。
実地試験は記述式の試験で施行管理法について問われます。
講習は「浄化槽概論」が8時間、「法規」が3時間、「浄化槽の構造および機能」が15時間、「浄化槽施工管理法」が8時間、「浄化槽の保守点検および清掃概論」が3時間と計37時間の講習を5日間かけて行い、講習終了後に3時間の「効果評定」を行います。
浄化槽管理士の有資格者は講習の一部免除があります。
まとめ
以上が浄化槽設備士に関するまとめになります。
基本的に実務経験が必要な類の資格ではありますが必置資格ゆえにもしもの時には持っていることで多いに役立つ可能性があるため、特に管工事施工管理技士の方は講習で取得できることもあるので注目したい資格と言えます。
少しでも参考になれば幸いです。