理学療法士とは、事故や脳内出血などで身体に障害を持つ者に対して、専門職に携わる医師・看護師・医療ソーシャルワーカーらとチームを組み、理学的治療を施して基本的な運動能力を回復させるリハビリテーションの指導や援助を行うことを独占業務とした国家資格です。
資格の有利さや将来性
理学療法士はPT(Physical Therapist)とも呼ばれます。
資格取得後の就職先は一般病院、リハビリテーションセンターなどになります。
理学療法士の仕事内容
理学療法士とよく似た仕事として作業療法士という仕事もありますが、どちらも事故等で身体機能に障害を持つ患者の機能回復を支援するリハビリテーションに携わるための資格です。
作業療法士は患者自身に園芸や手工芸など作業させることを主体としていますが、理学療法士はマッサージや微量の電気刺激、温熱など物理的な治療を行い、患者が自力で病院を出て自宅に帰ることができることが目標になっています。
私もかつて交通事故で骨折したときに1カ月ほど理学療法士の先生にお世話になり、マッサージやストレッチの指導、自力で徒歩できるまでの指導をしていただいたことがあります。
リハビリがはじまるまではただただ暇なだけでしたのでそういった意味でも助かりました。
また身体機能障害を患った患者のリハビリに限らず、スポーツ選手を支える理学療法士もいます。
スポーツ選手の体のコンディション調整したりするなどスポーツトレーナーとしての役割になります。
理学療法士は飽和状態!?将来性は!?
リハビリ対象者は私のように交通事故の被害者もいれば脳血管疾患で麻痺を患った患者さんもいます。
脳血管疾患は三大成人病のひとつであり、こうしたリハビリ対象者は増加傾向にあるとも言えます。
さらにご存知現在日本は高齢化社会であり、リハビリを必要とする高齢者も多く、訪問サービスによる在宅介護も拡大しています。
ですが理学療法士・作業療法士は年々増え続けており、近年だけで4倍もの数の療法士が増えたと言われています。
このままではいずれ飽和状態になってしまうので理学療法士・作業療法士は就職することも厳しくなってくるであろう、と言うのが定説のようになっています。
しかしリハビリの仕事と言うのは社会的な意義の高い仕事であり、理学療法士自体の仕事がなくなってしまうと言うことはとても考えづらいです。
なんとなく理学療法士になろうかな、という気持ちの方にとっては厳しくなるかもしれませんが、理学療法士になりたくてがんばろうと考えている方にとってはそこまでひどい将来になることはないと言えるでしょう。
残業が少ない方!
客観的に見て医師や看護師などほかの医療系の職業と比べると理学療法士の残業は少ない方だと言えます。
医師や看護師は常に急患に対応しなければなりませんが、理学療法士は治療後の患者の担当となるため緊急性はほとんどありません。
看護師や介護職のような夜勤もあまりなく、基本的には定時で帰宅できるという数少ない医療系専門職であるメリットがあります。
しかし残業が100%ないわけではありませんし、勤務先にもよりますのであくまで一般的にそういわれている、と言う解釈でお願いします。
他資格への影響
理学療法士として実務経験が5年以上あれば介護支援専門員(ケアマネージャー)試験の受験資格を満たせます。
資格を取得するには
国家試験に合格すれば取得できるのですが、そのためには専門の学校を卒業する必要があり、国家試験よりもその学校への入学試験の方が難関になります。
受験資格を得るために
国家試験の受験資格は、国が指定する学校・養成施設などで3年以上の知識や技能を修得した者となっています。
理学療法士の養成施設を持つ大学・短大・専門学校に入学する必要がありますが、人材ニーズの高い資格であるために希望者も多く、倍率も高くなっています。
これら学校は私立と国公立では授業料が異なり、国公立は授業料が安くなるため競争倍率も必然的に厳しくなってきます。
入学するための科目は英語・数学・物理など理系中心となってくるため、理系科目が苦手な方にとってはじっくりと十分な受験対策を練ることが必要になります。
転職組にとってはこのあたりもハードルとなるでしょう。
またこれらの大学・短大・専門学校への入学資格は高卒以上となっているため、その資格がない方はまずそこからはじめなければなりません。
国家資格合格率は90%以上
大学や養成施設に入学するためのハードルは非常に高いですが国家資格の合格率は90%程度と、学校さえ入ってしまえば相当なまけていない限り、ほとんどの方が合格できます。
一番大変なのはやはり養成施設への入学、また転職組にとってはその間の生活費が重要な問題になってきます。
ちなみに大学・短大・専門学校などで学ぶことは養成施設では基礎分野・専門基礎分野・専門分野の3つで構成されています。
この中には臨床実習も含まれており、病院などで患者を対象としたリハビリテーションを行うことになります。
まとめ
以上が理学療法士の仕事内容や将来性、そして理学療法士になるまでの大雑把な道のりになります。
まずは養成施設への入学が大きなハードルになりますが、理学療法士は安定した医療系の仕事に就ける一生モノの資格です。
転職組も養成施設での授業料やその間の生活費の問題を合わせてクリアできるのであれば前職がなんであれ、病院で働く医療系エキスパートになるという劇的なキャリアチェンジが可能になります。
ちなみにあまりない例だと思われますが外国で理学療法に関する学校を卒業したり、外国で同様の免許を取得した方も厚生労働大臣が適確と認めた場合は国家試験の受験資格が得られますので対象者である方は参考にしてください。