公認会計士とは、企業の監査を独占業務とする国家資格です。一定規模以上の企業には監査が義務付けられています。
公認会計士とは
財務・会計系の資格の頂点と言える資格なんですよ。
公認会計士の仕事内容
近年では東芝の粉飾決算についてのニュースが世間を騒がせました。そしてそれと比較するかのように2005年に発覚したライブドア事件についても頻繁に報道されていました。
ライブドア事件は粉飾決算が発覚し、当時の経営陣や監査を担当していた公認会計士が意図的に粉飾したとして逮捕されたと言う事件です。このとき2人の公認会計士が懲役1年執行猶予4年の刑となりました。
上場企業は株式市場を通じて株を不特定多数の人に販売することで巨額の資金を得ているため、財務諸表に嘘があればたくさんの人に損害を与えることになります。このような事件が頻発すると株式市場への信頼を失ってしまいます。
そのため一定規模以上の企業には「監査」が義務付けられており、この監査をするのが公認会計士の独占業務です。地方自治体への会計監査(公会計)の仕事もあります。
その他にも会計業務、税務業務、マネジメントコンサルティングサービス(MCS)と呼ばれる経営指導やアドバイスなど、業務の幅はとても広いです。
高収入!年収700万円~900万円以上
公認会計士になるにはまず試験に合格し、実務補習を受けてその後2年以上の実務経験が必要となります。
実務経験を積む段階で監査法人で働き、正式に公認会計士になった後もそのまま社員として残ることが一般的と言われています。
監査法人は年収が高いと言われており、規模にもよりますが初任給で500万円程度、平均で1000万円程度になってくると言われています。
現在は深刻な人手不足
2006年ごろアメリカから圧力がかかったと言われており、日本は公認会計士の数を増やすことを約束し、金融庁では有資格者を2030年までに5万人増加する方針を示しました。
その結果ご存知の方もいらっしゃるかと思われますが2008年のリーマン・ショックの影響で大手監査法人は採用人数を大幅に縮小。合格者のリストラや合格後の実務経験に入ることのできない待機合格者問題がテレビでも報道されることになりました。
待機合格者問題は2013年ごろまで続き、公認会計士の人気は下がっていきます。
そしてその結果2014年ごろから人材不足が深刻になってきたのです。
そのため現在は合格者の大半が監査法人に就職できるようになっています。
今がチャンスと言えばチャンス。しかしふたたびこのような問題が発生することも考えられなくはないのであらかじめ頭に入れておく必要があります。
他資格への影響
公認会計士有資格者は無試験で税理士と行政書士に登録できます!
税理士も行政書士も独立開業が十分に可能な職業ですので独立開業することも可能でしょう。この場合差別化することが大切になると考えられます。
また中小企業診断士の1次試験の財務・会計科目が公認会計士有資格者は免除対象です。
次に公認会計士試験に合格した方は社会保険労務士試験の受験資格を満たせます。
他にもファイナンシャルプランナーの資格は上位のものになると実務経験が必要になるのですがその例で「公認会計士として資産に関する相談業務に従事している方」とありますのでご参考までに。
公認会計士になるには
国家試験に合格したあと、3年間ほど実務補習を受け修了考査に合格し、さらに2年間の実務経験を満たすことでようやく公認会計士有資格者になれます。
国家試験に受験資格はなく誰でも受験できます。
合格率は8~10%!?
近年の合格率は8~10%あたりのように見えますが、公認会計士試験には免除制度があり、一部が免除されて合格した方もこの中に含まれています。
免除については下記で詳しく説明しますが基本的にもともと相当な知識がある方が免除されるため、まったく畑違いの業種からの受験者などとは知識の土台が異なり、免除なしで受験して合格した方の割合はもっと下がるのではないかと予想できます。
試験の内容
国家試験は短答式試験と論文式試験の2種類。
どちらの試験も一度合格すれば申請により、2年間は試験が免除されます。
短答式試験
科目は4つです。
- 財務会計論(簿記・財務諸表論等)
- 管理会計論(原価計算等)
- 監査論
- 企業法(商法等)
以下に該当する方は短答式試験そのものが免除されます。
- 司法試験合格者
- 商学・法学に関する研究で博士の学位を授与された者
- 大学等で3年以上商学・法学関連科目の教授、准教授の職にあった者
また税理士有資格者や税理士試験の簿記論・財務諸表論の科目合格者は、財務会計論(簿記・財務諸表論等)の科目を免除となります。
他にも国や地方公共団体、大会社にて会計や監査業務に7年以上従事した方は財務会計論の科目が免除となります。
また会計専門職大学院を修了すれば企業法(商法等)の科目以外が免除されます。
論文式試験
科目は4つ+選択科目です。
- 会計学(財務会計論および管理会計論)
- 監査論
- 企業法
- 租税法(法人税法等)
- 選択科目(経営学、経済学、民法または統計学のうち1科目)
資格による免除は3パターン。
司法試験合格者は「企業法」と選択科目の「民法」が免除されます。また不動産鑑定士試験合格者は選択科目の「経済学」or「民法」が免除、税理士試験合格者は「租税法」が免除されます。
学位による免除は2パターンです。
法学に関する研究で博士の学位を授与された者は「企業法」と選択科目の「民法」、商学に関する研究で博士の学位を授与された者は「会計学」と選択科目の「経営学」、経済学の場合は「経済学」の科目が免除されます。
他には商学の教授・准教授は「会計学」「経営学」、法学の場合は「企業法」「民法」、経済学の場合は「経済学」の科目が免除されます。いずれも3年以上その職にあった者が条件です。
また企業会計の基準設定や監査基準の設定などの事務・業務に従事した者で審査会が能力を認定した者は「会計学」や「監査論」が免除されます。
まとめ
以上が公認会計士に関する情報のまとめになります。
非常に難関な資格ではありますが非常に重要な役割を担い、それに伴った収入も見込める資格だっただけに待機合格者問題はあまりにショックだったと言えます。
しかし公認会計士の仕事は資本主義社会にとって重要な仕事であるため非常に誇り高い仕事であると言え、資格を取得する価値は十分にあると言えるでしょう。
ちなみに旧試験の2次試験に合格して登録することで「会計士補」と言う資格を得られたのですが、試験変更に伴いこの資格は廃止されています。
少しでも参考になれば幸いです。