司法試験から弁護士、検事、裁判官になる流れを解説してみた
資格の鎧

司法試験から弁護士、検事、裁判官になる流れを解説してみた

裁判所のハンマー

司法試験を突破すれば法律界で最高峰の職業につけます

司法試験とは「法曹3者」と呼ばれる弁護士、検察官、裁判官になるための登竜門となる試験です。

司法試験の特徴

弁護士、検察官、裁判官は「法曹3者」と呼ばれ、法律界最高峰の職業です。中でも裁判官は人を死刑にできるほどの権力を持っています。

法曹3者の仕事内容

法律の本

難関試験を突破したあとは責任重大な仕事に就きます

弁護士、検事、裁判官、それぞれ業務独占になります。

弁護士

訴訟の代理人として出廷し、依頼人の豪率上の利益を弁護したり、刑事事件では被告人の弁護人として当事者の相談に応じて紛争の予防や解決にあたることが仕事です。

検察官(検事)

殺人や強盗、贈収賄など数多くの刑事事件について起訴し、法の正当な裁きを要求することが仕事です。

裁判官

裁判を行って判決を下すことが仕事です。非常に高度でデリケートな職務であり、司法権の独立を守るという観点から強い身分保障が認められています。

弁護士、検事、裁判官になるには

裁判所

司法試験合格後、司法修習を経てそれぞれの進路にわかれます

まずは司法試験に合格しなければならないのですが、合格してすぐに法曹3者になれるのかと言えばそうではなく、「司法修習」と呼ばれる1年の研修期間があります。

司法修習生は公務員ではないのですが国家公務員に準じた地位という扱いになるため、この期間中は副業・アルバイトは禁止となります。

また2010年11月以前の修習生には国から給与が支給されていたのですがこの給費制は廃止され、代わりに最高裁が無利息で生活資金を貸し、修習後にこれを返済するという貸与制に移行しました。お金がないとかなり厳しいですね。

司法修習の最後には国家試験である「司法修習生考試」があり、これに合格することで修習修了となり、弁護士か検事か裁判官か、それぞれの進路にわかれていきます。なお合格できなえれば法曹資格を得られません。以前は不合格科目のみ追試とする制度がありましたが廃止されました。

弁護士以外は国家公務員であるため希望すればなれると言うものではなく、司法修習の段階で成績優秀者がピックアップされていると言われており(年齢にもよります)、約2割が検事・裁判官となり残りの8割が弁護士になると言われています。

司法修習を修了して弁護士となった者は先輩の事務所などで数年間イソ弁(居候弁護士)として経験を積んで独立する方もいれば、数多くの弁護士を抱えて複雑な案件や大型案件をこなせる法律事務所「ロー・ファーム」を目指して若い頃から大企業や大型で複雑な案件にかかわっていき経験を積む方もいます。

司法試験なしで目指せる道もある!

ギアと電球

働きながら目指すことが可能なんです!

ちなみに検事と裁判官は司法試験に合格しなくてもなれる方法があります。

検事は検察事務官から、裁判官は裁判所事務官から、国家公務員として実務経験を積むことで目指すことが一般的です。

実務経験だけでなれると言うのは非常に魅力的ですが、まず検察事務官・裁判所事務官になるために国家公務員試験に合格する必要がありますし、その上で10年以上勤務する必要があります。また実務経験だけでなれるわけではなく、そこからも試験があります

しかし働きながら検事・裁判官を目指せると言うだけではなく、さらに実務経験を積み続け、その後の試験にパスし続けることで弁護士資格や司法書士資格を得ることも可能です!

いずれにせよハードな勉強人生にはなりますが、司法試験合格後のすさまじいプレッシャーよりはこちらの方が向いている人もいるでしょう。

やっぱり年収はかなり高い!

弁護士

責任重大な仕事ですので年収は高いです

平均年収は弁護士が約1000万円、検察官が約600万円、裁判官が約900万円となっています。

こう見ると弁護士が一番稼げるように見えますが検察官や裁判官は昇進するとあがっていきますし、特に最高位である最高裁判所裁判官は年収3000万円を超えると言われています。

弁護士については近年士業は弱くなっていると言われている中、専門性が高く腕のいい弁護士はかなり稼いでいらっしゃいます。

特に企業法務を専門として複数の会社の顧問になることができた弁護士は定期収入も得られるため年収数1000万円の方もいらっしゃるようです。

近年はコンプライアンス(法令遵守)や個人情報保護法などにより企業法務に関するニーズが高まっています。

予防的な法務だけでなくM&A(企業買収)など投資活動の中枢に関係する案件も増えてきており、弁護士の業務範囲は拡大しています。

他資格への影響

パソコンを見て考える男性

最高峰の資格なので他資格に強く影響します

弁護士は無試験で税理士弁理士行政書士社会保険労務士に登録することができます。

中小企業診断士試験では司法試験合格者は1次試験の経営法務が免除対象となります。

またファイナンシャルプランナーの資格は上位になると実務経験が必要となるのですがその実務経験として認められるもののひとつに「弁護士として資産に関する相談業務に従事している方」とあります。

最後に司法試験予備試験合格者は社会保険労務士試験の受験資格を満たせます。

資格を取得するには

司法試験に合格して司法修習を修了することで法曹資格を得る方法を基準に解説していきます。

司法試験の受験資格

2つに割れた道

2つのルートがあります

旧司法試験が2010年で廃止されて以前とは大きく変わりました。現在の司法試験の受験資格を得るには2つのルートがあります。

法科大学院修了者

法科大学院を修了した日の最初4月1日から5年を経過するまでの間、司法試験を受験することができます。ただし受験できる回数は3回です。

司法試験予備試験合格者

金銭的な事情などで法科大学院に通う余裕のない方のための救済措置と言った感じで「司法試験予備試験」と言う試験に合格すれば法科大学院修了者と同等の学力があるとみなされます。

ただし難易度はかなり高く、司法試験予備試験の合格率は大体3%程度と考えて良いでしょう。旧司法試験なみの難易度の高さです。

こちらも司法試験予備試験合格発表の日の後の最初の4月1日から5年を経過するまでの間、司法試験を受験することができます。受験回数はこちらも同じく3回までです。

司法試験合格率は25%程度

試験勉強

近年難化傾向です

現在の新司法試験に移行してからしばらくは48.3%程度の高い合格率だったのですが年々難化傾向にあり、近年は25%前後の合格率になっています。

ちなみに3%の合格率を突破した司法試験予備試験合格者がもっとも多く司法試験に合格しています

まとめ

コーヒーを飲む男性

いかがでしたか?

以上が司法試験についての全体像になります。

弁護士になれれば…と若いころの私も高年収にあこがれてなんとなく甘い考えで考えたことがあるのですが並大抵の努力でどうにかなる資格ではありませんよね。

司法試験合格ルートですと頭もお金もいりますし、その後も常人の精神力ではついていけないくらいプレッシャーに押される日々を送ることになります。

公務員ルートでも何度も試験に挑戦しなければなりません。

それほど責任重大な仕事につくための試験なんですね。