気象予報士とは、気象庁から提供される数値予報結果や観測データなどを総合的に判断して天気の予想を行う国家資格です。
気象予報業務許可事業者の中で天気予報を行うことを独占業務としているため気象予報会社においては必置資格としての性格も持ちます。
気象予報士の特徴
非常に難関な資格ですが就職や転職には弱く、趣味資格の延長であることがよく指摘されています。
気象予報士の独占業務とは
気象予報士と言えばテレビでよく見るお天気キャスターを思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。
しかしタレントの石原良純さんのように気象予報士の資格を持ったお天気キャスターもいれば、資格を持っていないアイドルのお天気キャスターもいます。このようにお天気キャスターになるために気象予報士の資格が必要なわけではありません。
気象予報士の資格は1994年誕生と比較的新しく、それまで気象庁しか行うことができなかった天気予報を民間にも開放することを目的に気象業務法が改正されたことがきっかけで誕生したものです。
気象予報を民間会社が行うにはまず気象庁長官の許可を受ける必要があり、その許認可事業において予報を担当するのは気象予報士でならなければならないと定められており、これが気象予報士の独占業務になります。
そのため気象予報会社が作成した天気予報をテレビで解説するだけであるお天気キャスターと言うものに特に資格は必要ないですし、お天気キャスターはこの資格本来の業務ではありません。
以前タレントの千秋さんが「尊敬している気象予報士の方がバカと呼ばれるアイドルに代られた。気象予報士でないのに天気予報をしている女が嫌い」と番組で話していたこともありましたが、あくまで気象予報士の資格本来の業務を考えると…悔しいですが仕方ないと言えるかもしれませんね。
気象予報会社は70社前後…就職は難しい
上記のように気象予報士とは本来、気象予報会社にて活躍する資格なのですが現在予報業務の許可事業者(気象・波浪)は70社になります(平成29年12月21日現在)。
筆者の記憶では10年ほど前は50社程度だったと思いますので増え方としてもゆるやかですし、気象予報会社の数的にも活躍できる気象予報士には限界があります。
テレビ局や製作会社にコネがあればお天気キャスターとしての活躍も考えられますが非常に難しいでしょう。
また資金が必要にはなりますが自ら気象予報業の許可を取り起業することも可能と言えば可能でしょう。他にはない気象予報サービスを展開できればおもしろそうです。
他資格への影響
気象予報士の資格を持っていると社会保険労務士試験の受験資格を満たします。
気象予報士になるには
試験に合格すればOKです。受験資格は特になく誰でも受験できます。
合格率は激低!超難関です
気象予報士試験の合格率は4.5%前後となっており、非常に難しい試験と言えます。
合格率は変動していますが基本的に10%以上になることはないと考えた方が良い試験であり、覚悟が必要です。
試験の内容
「学科試験」と「実技試験」がありますがいずれも筆記試験です。
学科試験は多肢選択式の試験になり「予報業務に関する一般知識」「予報業務に関する専門知識」にわけられます。
詳しい内容は以下のようになっています。
■予報業務に関する一般知識
- 大気の構造
- 大気の熱力学
- 降水過程
- 大気における放射
- 大気の力学
- 気象現象
- 気候の変動
- 気象業務法その他の気象業務に関する法規
■予報業務に関する専門知識
- 観測の成果の利用
- 数値予報
- 短期予報・中期予報
- 長期予報
- 局地予報
- 短時間予報
- 気象災害
- 予想の精度の評価
- 気象の予想の応用
実技試験は記述式の試験で「気象概況およびその変動の把握」「局地的な気象の予報」「台風等緊急時における対応」の3科目になります。
科目免除について
一度学科試験の1科目もしくは2科目とも合格した場合は合格発表の日から1年は有効となり、申請することで免除となります。
また以下に該当するは学科試験の一部または全部が免除となりますよ。
- 防衛省・気象庁の養成課程を修了し、3年以上予報業務に従事した方は学科試験が免除
- 気象事業者上級職員特別講習を修了し、3年以上予報業務に従事した方は学科試験が免除
- 技術士(応用理学部門に限る)で3年以上予報業務に従事した方は学科試験が免除
- 7年以上、国の行政機関で気象庁長官が定める予報業務に従事した方は学科試験が免除
- 気象庁の養成課程を修了し、3年以上、国の行政機関で観測業務に従事した方は学科試験の「予報業務に関する一般知識」が免除
- 気象事業者上級職員特別講習を修了し、3年以上、国の行政機関で観測業務に従事した方は学科試験の「予報業務に関する一般知識」が免除
- 7年以上、国の行政機関で気象庁長官が定める観測業務に従事した方は学科試験の「予報業務に関する一般知識」が免除
まとめ
以上が気象予報士に関するまとめになります。
私も気象予報士についてよく知らないときは天気予報の解説をする人だとばかり思っていたのですが実際にはそうではないですし、難しい試験だと言うことは知っていましたがかと言って収入等にあまり結びつかないものだと知ったときは少しショックを受けた覚えがあります。
就職や転職目当てで取る資格ではないことは頭に入れておきたいですね。