エネルギー管理士とは、エネルギー使用方法の改善および監視、消費設備の維持など経済産業省の定めるエネルギー管理者の業務を取り扱うことのできる国家資格です。
規定量以上のエネルギーを使用する工場(第一種エネルギー管理指定工場)のうち5業種において必置義務があります。
エネルギー管理士の特徴
略してエネ管と呼ばれることもあります。
エネルギー管理士の必置義務
規定量以上のエネルギーを使用する工場は「第一種エネルギー管理指定工場」に指定されます。
このうちの5業種、製造業、鉱業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業は1人から4人のエネルギー管理者を選任する必要があります。5業種以外でも選任しなくてはならない場合もあります。
エネルギー管理者はエネルギー管理士免状の交付を受けている者のうちから選ばれます。
資源の乏しい日本では安定した需要に期待!
日本はエネルギー資源に乏しくエネルギーのほとんどを輸入に頼っています。
このエネルギー管理士ができた背景には第1次オイルショックと第2次オイルショックがあり、このころから「省エネ」と言う言葉が使われるようになり「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」ができあがりました。
2011年の東日本大震災時に「節電」が日本中で叫ばれていたことも記憶に新しいのではないでしょうか。
日本において省エネは非常に大きな課題であり、職場で省エネを実行するエネルギー管理士の需要は高まって行くであろうと考えられています。
給料UPに期待!他資格併用で転職にも
エネルギー管理士は必置義務のある資格ですが必要とされる現場にはすでに必要な数だけのエネルギー管理士もいますし、必要とされる業界もある程度限られています。また研修+実務経験でも取得できる資格ですので人数が不足することは考えづらいです。
そのためエネルギー管理士単体では就職や転職に強いとも言えませんし、あまり使えないかもしれません。どちらかと言えばすでに在籍している社内での昇進につながる資格と言えます。資格手当が出るところもあります。
そんなエネルギー管理士ですがあくまで「単体として弱い」と言うだけであり、複数の資格と併用するとかなり強力になることもあります。
例えば有名どころで言えばエネルギー管理士と電験3種は非常に相性の良い資格であり、この2つを持っていることで就職や転職にもかなり有利になることもあります。
特にビルメンテナンス業界では電験3種、エネルギー管理士、建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の3つの資格を持っているとかなり強力になり、ビルメン三種の神器と呼ばれるほど役に立つものになると言うことは比較的有名です。
ビルメンテナンス業界は比較的年齢層が高い方でも受け入れられる傾向にありますのでこれら資格を取得しておくことにより中高年の再就職にも使える資格と言えるでしょう。
他資格への影響
エネルギー管理士(熱)免状を有する者で1年以上の実地修習を経たものは一級ボイラー技士試験の受験資格を満たします。
さらに2年以上の実地修習を経たものは特級ボイラー技士試験の受験資格を満たします。
エネルギー管理士になるには
国家試験に合格+1年以上の実務経験、認定研修+3年以上の実務経験で取得できます。国家試験に受験資格はありません。
難易度は?国家試験の合格率
エネルギー管理士には「電気分野」と「熱分野」があります。
電気分野の合格率は16%~32%、大体25%前後と言えます。
熱分野の合格率は18%~41%、大体30%前後と言えるでしょう。
難易度としては簡単とは決して言えませんがかと言って難関資格とも言えない、中程度の難易度の資格と言えるでしょう。
エネルギー管理士は「電験2.5種」と表現されることもあります。電験3種を取得できる実力がある方にとっては難易度はもう少し下がるかもしれません。
試験の内容
試験は電気分野も熱分野も4課目になります。
まず電気分野・熱分野どちらも必須基礎区分として「エネルギー総合管理及び法規」が1課目。
次に選択専門区分として電気分野は「電気設備及び機器」「電力応用」「電気の基礎」の3課目。
熱分野は「熱と流体の流れの基礎」「熱利用設備及びその管理」「燃料と燃焼」の3課目になります。
4課目それぞれ60%取れれば合格となります。
1課目でも合格すれば課目合格となり、3年以内に受験する場合その課目は免除対象になります。
まとめ
以上がエネルギー管理士についてのまとめになります。
単体では少々弱い資格ですが複数組み合わせるとかなりエリート感を漂わせられる資格になりますので、ぜひさまざまな資格と併用して活用したいところです。
少しでも参考になれば幸いです。