知的財産管理技能士とは技能検定の一種である知的財産管理技能検定に合格した者に与えられる称号であり、名称独占の国家資格です。
知的財産管理技能士の特徴
略して「知財技能士」と呼ばれることも多いです。
日本で知財はかなり重要視されている!
知的財産とは著作物、商標、発明、特許、意匠…など、アイデアやデザインと言った形のない財産のことを指します。
知的財産管理技能士とは企業内などで知的財産に関する能力を発揮できる力があることを証明する、2008年に誕生した比較的新しい国家資格です。
資源の少ない日本においてアイデア次第で無限に生まれる知的財産は非常に魅力的であり、また国家戦略として採用されるほど重要視されています。
2002年には小泉純一郎元首相が「知的財産立国」と言う知的財産を重視して保護すると言った国家戦略を採用、近年ではよく耳にするであろうクールジャパン戦略と言われる外国人がクールと捉える日本のアニメや漫画、ゲーム、食、伝統文化などを海外へ発信したりインバウンドで国内消費に繋げたりするブランド戦略を内閣府(知財事務局)が推進しています。
知的財産管理技能士の資格を持っていることは、現在日本で重要視されているこの知的財産を管理する能力を持っている証明になり、知財に関わる産業においては就職・転職において評価される可能性は非常に高いです。
知的財産管理技能士は1級・2級・3級と存在し、1級が最上位になります。
1級はかなり難しいですが3級はそこまで難易度が高くないこともポイントのひとつです。
+αの資格としては優秀!就職や転職にも有利
知的財産に関する資格と言うと弁理士をイメージする方も多いでしょうが、弁理士と知的財産管理技能士は法律上目的が異なります。
弁理士は特許権や商標権などに関する業務を行うために必要な業務独占資格であり、対して知的財産管理技能士は知的財産を適切に管理・保護することを目的とした名称独占の資格です。
ざっくり言えば独立も可能な弁理士に対して、知的財産管理技能士は企業内で活躍するための資格と言えます。
単純に知的財産に関する資格が欲しいと考えているのであれば、業務独占資格である弁理士とは異なり、知的財産管理技能士はあくまで知的財産についての知識を持っていることの証明程度ですので弁理士に比べて資格の力は弱いです。
また知財業務は人工知能(AI)によって自動化が可能により、なくなってしまう可能性が高いと言う見方をする記事も多く見られます。
これらのちょっと残念な点もふまえて現在の日本において知的財産が重要視されていて需要が高い現状を見ると、何か別に専門性のあるものを持った上で、+αとして知的財産についての知識もあると言う使い方が非常に有効と言えるでしょう。
法学部の学生+知財技能士、理系の学生+知財技能士、何か充分な実務経験がある方+知財技能士、などと言った形だと有利になると予想できます。
またもちろん知財関係の仕事をしている方のスキルアップにも有効です。
他資格への影響
1級知的財産管理技能士であれば社会保険労務士試験の受験資格を満たします。
知的財産管理技能士になるには
技能検定に合格すればOKです。3級は特に受験資格はありませんが1級・2級は受験資格があります。
受験資格について
3級の受験資格は「知的財産に関する業務に従事している者または従事しようとしている者」と特に受験資格はありませんが、1級・2級は実務経験や下位級合格など受験するにあたって条件があります。
まず2級の受験資格は以下です。
- 知的財産に関する業務について2年以上の実務経験を有する者
- 3級技能検定の合格者(合格日が試験の行われる日の属する年度及びその前年度並びに前々年度に属するものに限る)
- 学校教育法による大学又は大学院において検定職種に関する科目について10単位以上を修得した者
- ビジネス著作権検定上級の合格者(合格日が技能検定が実施される日の属する年度及びその前年度並びに前々年度に属するものに限る)
1級は「特許専門業務」「コンテンツ専門業務」「ブランド専門業務」にわかれていますが、学科試験の受験資格に関しては共通です。
- 知的財産に関する業務について4年以上の実務経験を有する者
- 2級技能検定の合格者で知的財産に関する業務について1年以上の実務経験を有する者(合格日が試験の行われる日の属する年度及びその前年度並びに前々年度に属するものに限る)
- 3級技能検定の合格者で知的財産に関する業務について2年以上の実務経験を有する者(合格日が試験の行われる日の属する年度及びその前年度並びに前々年度に属するものに限る)
- 学校教育法による大学又は大学院において検定職種(1級)に関する科目について10単位以上を修得した者で、知的財産に関する業務について1年以上の実務経験を有する者
- ビジネス著作権検定上級の合格者で知的財産に関する業務について1年以上の実務経験を有する者(合格日が技能検定が実施される日の属する年度及びその前年度並びに前々年度に属するものに限る)
1級の実技試験の受験資格は学科試験に合格した者か、別の専門業務に合格した者のみが受験することができます。
また知的財産管理技能検定には一部合格制度があります。
学科のみまたは実技のみ合格した場合、合格日の翌々年度まで有効になり、申請することで一度合格した試験が有効期限まで免除となります。
合格率から見る難易度 3級は比較的簡単
知的財産管理技能検定は3級・2級の難易度はそれほど高くはありませんが1級は結構な難関試験になっています。
3級の合格率は学科60%前後、実技70%前後となっており、2級の合格率は学科30%~40%、実技40%~50%になっています。
ともに合格率がガクッと下がる年もありますので一概には言えませんが、比較的合格しやすい水準と言えるのではないでしょうか。
しかし1級の合格率は10%前後ですが年によっては5%~6%のときもあるかなりの難関試験です。
まとめ
以上が知的財産管理技能士についての大まかなまとめになります。
将来性として若干不安な面もある分野ではありますが現在知的財産に関する知識は社会的ニーズも高いのでぜひとも活用したいところです。
難関である1級を目指さなくても、特に受験資格がなく合格率も高く独学でも取得が可能な3級を取得して少しでも意識が高いことをアピールすることも悪くないと思います。