精神保健福祉士とは、精神疾患を有する精神障がい者が社会復帰をとげられるように手助けする専門的な知識を持つことを証明する名称独占の国家資格です。
精神保健福祉士の特徴
精神保健福祉士と介護福祉士、社会福祉士は福祉系三大国家資格と呼ばれています。
精神保健福祉士の仕事内容
精神障がい者の社会復帰をとげるために必要なことは医師や看護師、その他の医療従事者が行う医療的なケアだけでなく、それ以外の支援も必要とされており、そのための専門知識と技術を習得しているのが精神保健福祉士になり、独自の専門性があります。
精神保健福祉士は名称独占の国家資格なので実質この資格がなくても業務を行うことは可能なのですが、精神障がい者施設などでは必置資格に近い扱いになっていたり、精神科病院では診療報酬業務もあったりと、その専門性は高く評価されています。
精神科病院においてはカウンセラーのような仕事をするように考えられがちですがそうではなく、あくまで患者が社会復帰するためのサポートが仕事になります。
就職先や年収について
精神保健福祉士の就職先は精神科病院や心療内科クリニックなどの医療施設、行政機関の保健所や精神保健福祉センターなど幅広いです。
精神病患者は増えていますし、また行政機関で働く場合は公務員になりますので主な就職先はどれも安定した収入に期待できると言えますし、求人も安定しています。
平均年収については約400万円と日本全体で見ても平均ラインと言えます。これをどう見るかは受け取った方次第ではありますが、少なくとも他の福祉系資格の平均年収よりは少し高めであると言えます。
他資格への影響
精神保健福祉士有資格者は社会福祉士試験の一部の科目が免除されると言う特典があります。
また精神保健福祉士で実務経験が5年以上あれば介護支援専門員(ケアマネージャー)試験の受験資格を満たします。
ケアマネージャー試験は2018年から受験資格が変わってしまうので、例えばこれまで受験資格を満たしていた介護職員初任者研修修了者やホームヘルパー2級有資格者の方などは非常に困ることになってしまいますが、精神保健福祉士有資格者の要件については2018年以降も変更点はありません。
精神保健福祉士になるには
試験に合格すればOKです。ただし試験を受験するためには養成施設を修了することや所定の実務経験が必要になるため誰でもすぐに受験できるわけではありません。
受験資格について
すぐに受験することができるのは福祉系大学を指定科目履修で卒業した場合のみで、それ以外は基本的に相談援助実務と養成施設での勉強が必要になります。
福祉系大学・福祉系短大卒業者
福祉系大学を指定科目を履修して卒業すればすぐに精神保健福祉士試験を受験することができますが、基礎科目履修で卒業した場合はその後短期養成施設等で6か月勉強しなければ受験することができません。
福祉系短大の場合は指定科目を履修して卒業すれば3年制の場合はその後相談援助実務を1年間、2年制の場合は2年間行うことで受験することができます。
福祉系短大を基礎科目履修で卒業した場合は3年制の場合は相談援助実務を1年間、2年制の場合は2年間行い、その後短期養成施設等で6か月勉強すれば受験資格を満たします。
なお指定科目は以下になります。
- 人体の構造と機能及び疾病、心理学理論と心理的支援、社会理論と社会システムのうち1科目
- 現代社会と福祉
- 地域福祉の理論と方法
- 社会保障
- 低所得者に対する支援と生活保護制度
- 福祉行財政と福祉計画
- 保健医療サービス
- 権利擁護と成年後見制度
- 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
- 精神疾患とその治療
- 精神保健の課題と支援
- 精神保健福祉相談援助の基盤(基礎)
- 精神保健福祉相談援助の基盤(専門)
- 精神保健福祉の理論と相談援助の展開
- 精神保健福祉に関する制度とサービス
- 精神障害者の生活支援システム
- 精神保健福祉援助演習(基礎)
- 精神保健福祉援助演習(専門)
- 精神保健福祉援助実習指導
- 精神保健福祉援助実習
一般大学・一般短大卒業者
一般大学卒業者は一般養成施設等で1年間勉強すれば精神保健福祉士試験を受験することができます。
一般短大卒業者は3年制であれば相談援助実務を1年間、2年制であれば2年間行い、その後一般養成施設等で1年間勉強することで受験資格を満たします。
その他
その他の学歴の場合は相談援助実務を4年間行い、その後一般養成施設等で1年間勉強することで受験資格を満たします。
また社会福祉士登録者は短期養成施設等で6か月勉強することで受験資格を満たします。
合格率・難易度
精神保健福祉士試験の合格率はだいたい60%になっています。ちなみに平成29年度の合格率は62.0%でした。
もともときちんと勉強した上でなければ受験できない試験ですし、難易度としてはさほど高くはないと言えるかと思います。
試験の内容
試験科目は17科目とかなり多いです。
- 精神疾患とその治療
- 精神保健の課題と支援
- 精神保健福祉相談援助の基盤
- 精神保健福祉の理論と相談援助の展開
- 精神保健福祉に関する制度とサービス
- 精神障害者の生活支援システム
- 人体の構造と機能及び疾病
- 心理学理論と心理的支援
- 社会理論と社会システム
- 現代社会と福祉
- 地域福祉の理論と方法
- 福祉行財政と福祉計画
- 社会保障
- 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
- 低所得者に対する支援と生活保護制度
- 保健医療サービス
- 権利擁護と成年後見制度
社会福祉士は申請により一部の科目が免除となります。
まとめ
以上が精神保健福祉士に関するまとめになります。
他の福祉系資格よりも平均年収は高めで就職先や求人も比較的安定しているためおすすめの福祉系資格と言えると思います。
受験資格を満たすまでが大変ですが同じく受験資格を満たすことが大変な社会福祉士よりも難易度が低いこともポイントのひとつかと思われます。