運行管理者とは、運転者の乗務割の作成や運転者の配置、休憩・睡眠施設の管理、健康状態の把握、点呼などの業務を行うことのできる国家資格です。
この資格は一定の事業用自動車を有している営業所は一定の人数以上の運行管理者を選任しなければならないと定められている必置資格になります。
運行管理者の特徴
略称である「運管」と呼ばれることも多いです。
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まず運行管理者の資格は「貨物」と「旅客」の2種類があります。
「貨物」はトラック運送会社などで、「旅客」はタクシー会社やバス会社などで必要となる資格です。
運行管理者が必要な状況や人数を大ざっぱに言えばこれらのような運送会社、タクシー会社などで自動車の数が29両までであれば運行管理者1人以上、30両から59両で2人以上、それ以上は一定の計算式に従い必要とする人数が増えていくと言うようになっています。
必置資格は通関士や測量士のように、1人いればOKと言う資格も多いのですが、運行管理者は状況によって複数人必要になる資格です。
基本的に運行管理者の資格はすでに働いている社員に取得させることの多い資格ですので就職や転職に強いと言った資格ではないように見えますが、この資格を必要とする運送会社やタクシー会社は深刻な人手不足に悩まされている業界ですので、運行管理者を持っていることで中高年の方の再就職・転職にも有利に働く可能性があります。
また物流業界では管理職になるには運行管理者の資格が必須と言う企業も多いためこれら業界でキャリアアップするために非常に重要な資格と言えます。
運行管理者の仕事内容と年収
運行管理者は運送会社やタクシー会社などでドライバーが安全に仕事ができるように運行計画を作ったり、ドライバーの健康状態の確認や睡眠施設の確保などを行うことが仕事になります。
必置義務があり、キャリアアップには欠かせない資格にはなりますが年収自体は日本で働く人の平均年収よりやや下回り、平均300万円~400万円となっています。
大手企業であれば年収600万円以上の求人も見られますので、見込める収入は企業によると言えます。
運行管理者になるには
国家試験に合格するか実務経験+講習等の条件を満たすことで取得できます。試験なしで取得するには条件が難しいので多くの方が取得するルートは国家試験ルートになります。試験には受験資格があります。
運行管理者試験の受験資格
「貨物」も「旅客」も受験資格があり、以下のいずれかになります。
- 運行管理に関する実務経験が1年以上ある方
- 国土交通大臣が認定する基礎講習を修了した方
本来は1年以上の実務経験が必要になるのですが国土交通大臣が認定する基礎講習を受講することで1年以上の実務経験に代えることができると言う仕組みになっています。
「貨物」を受験する方は貨物の基礎講習を、「旅客」を受験する方は旅客の基礎講習を修了する必要があります。
貨物の基礎講習を修了しても旅客の試験は受験できませんし、旅客の基礎講習を修了しても貨物の試験の受験はできません。
合格率は年々低下…難易度は?
はじめこそ70%~80%の合格率だった運行管理者試験ですが徐々に難化してきており、現在の合格率はおよそ20%~30%になっています。
ちなみに試験は年2回あり、平成29年度第1回試験の合格率は貨物35.0%、旅客35.3%となっています。
合格率から見ると決して簡単な試験とは言えませんが、運行管理者試験は宅建など上位〇〇%を合格とするタイプの国家試験ではなく、あらかじめ定められた合格点を取れれば合格と言ったタイプの試験であることと、試験に出やすいポイントがある程度は絞られているため、難易度としては中程度…もしくは中より少し下と言ったところでしょうか。
ただし基本的に運行管理者はサラリーマン資格であるにも関わらずこの合格率ですので決してなめてかかってはいけない試験であることは頭に入れておく必要はあります。
試験の内容と合格基準点
「貨物」の科目は以下の5科目で合計30問になっています。
- 貨物自動車運送事業法関係(8問)
- 道路運送車両法関係(4問)
- 道路交通法関係(5問)
- 労働基準法関係(6問)
- その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力(7問)
「旅客」の科目は以下の5科目で同じく合計30問になっています。
- 道路運送法関係(8問)
- 道路運送車両法関係(4問)
- 道路交通法関係(5問)
- 労働基準法関係(6問)
- その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力(7問)
貨物も旅客も運行管理者試験は合格基準点は原則60%以上(30問中18問以上)正解かつ以下の科目の正解が1問以上であり、⑤については正解が2問以上である必要があります。
- 貨物は貨物自動車運送事業法 、旅客は道路運送法
- 道路運送車両法
- 道路交通法
- 労働基準法
- その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力
あらかじめ定められた基準まで得点できれば合格となるタイプの国家試験ですので過去問をやりこんで勉強し、合格を目指す方が多いようです。
無試験で取得する方法あり!ただし条件が厳しい
運行管理者資格者証の交付を受けるには試験に合格する以外に以下の条件もあります。
事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について、国で定めた一定の実務の経験その他の要件を備える。(一般貸切旅客自動車運送事業を除く。)
これに当てはまる条件としてはまず運行管理に関する実務経験が5年以上あることと、その間に運行管理に関する講習を5回以上受講した者であることの2つを満たせばOKとなり、無試験で運行管理者の資格を取得できます。
ただし5回の講習のうち1回は基礎講習を受講している必要があり、また1年に複数回の講習を受講しても1回としかカウントされないため注意する必要があります。
他には1年以上の実務経験と講習の講師など国土交通大臣の定める職務に2年以上従事した経験がある方も無試験で運行管理者の資格を取得できますが、これは少し難しいですね。
定期的に講習を受ける必要があります
運行管理者は原則2年に1回一般講習を受講しなければなりません。
また新たに運行管理者に選任された場合は原則、選任した年度内に一般講習を受講する必要があります。
更新がある資格はたくさんありますが、それらと比べても運行管理者は受講しなければならない頻度が高い資格であることを頭に入れておかなければなりません。
まとめ
以上が運行管理者に関するまとめになります。
現在人手不足である物流業界やタクシー業界にて出世するために重要な資格になりますので、やる気次第ではこの資格で人生を変えられる可能性すらありますね。
少しでも参考になれば幸いです。