船舶料理士とは、一定以上の船舶において船員に支給する食糧の調理業務を管理する必置資格である国家資格です。
漫画「ONE PIECE」で言えばサンジの役割になりますね。すでに調理師や栄養士の資格を持っていると比較的取得しやすい資格ですので環境をガラっと変えてみたい方に良いかもしれません。
今回この記事ではそんな船舶料理士の仕事内容や取得方法、取得難易度などを解説していきます。
船舶料理士の特徴
調理師や栄養士は名称独占の資格ですがこの船舶料理士については必置資格になっています。
船舶料理士の仕事内容
近海区域か遠洋区域を航行区域とする総トン数1000トン以上の船舶、または第3種従業制限のある総トン数1000トン以上の漁船は、船舶料理士に調理業務を管理させなければならないと定められています。
船内では司厨長(しちゅうちょう)や司厨員などと呼ばれ、船舶料理士の資格の名前の通り料理を担当します。
大体3カ月ほど船に乗り込み、朝・昼・夜の3食を造ったり、場合によっては深夜に夜食を作ったりすることが仕事になります。食材の購入も船舶料理士の仕事であり、食材が足りなくなったからと言って買い出しに行こうとしても海の上ですので次の入港まで待つ必要がありますし、天候に左右されやすいのでその日に確実に入港できるとも限らず、かなり計画的に進めていく必要があるプロの仕事と言えます。
非常に大変な仕事ではありますが大体3か月ほど船に乗り込んで仕事をしたあと1カ月ほど休暇と言うサイクルになり、まとめて休暇が取れる点に魅力を感じる点と言えるでしょう。
転職を考えている調理師の方は注目してみても良いかも!?
通常、船舶料理士の資格を取得しようと思ったら1年以上の乗船経験を積み、その上で試験を受験しなければなりません。
ですが調理師・栄養士であれば試験を受ける必要はなく、1カ月or3カ月の乗船経験を積むことで船舶料理士の資格を取得することができます。
また航海士の資格である海技士と同様に海の上の仕事である船舶料理士も慢性的な人手不足です。
船舶料理士の必置義務は一定規模の船に1人以上と宅建のように何人も配置しなければならないタイプの必置義務ではないのにも関わらずそれでも人手不足と言うことはかなり深刻な状況だと言えます。
また陸での調理師よりも海の船舶料理士の方が給料が高いと言われています。
具体的に年収を示す資料は見つからなかったのですが、航海士の資格である海技士についても、危険を伴う仕事なため待遇が手厚く高収入であると言われていますので一般の航海士の年収の前後くらいは期待できるのではないでしょうか。ちなみに航海士は大卒でなくとも若いうちから年収500万円以上を目指せる資格と言われています。
また船舶料理士は人手不足ですのでそこの企業の条件が悪かったとしても経験さえ積めれば比較的転職しやすい仕事と言えます。
陸で生きてきたのにいきなり海と言うのも戸惑うかもしれませんが、そういう選択肢もあるのだと言うことを頭に入れておいても良いのではないでしょうか。
他資格への影響
船舶料理士の資格を持っていると食品衛生責任者になることができます。
この資格は飲食店開業時などに絶対必要となる講習だけで取得できる資格ですが、船舶料理士であれば講習を受けずに食品衛生責任者に就任することができます。
食品衛生責任者は飲食店開業時に必要!講習だけで取れますよ
食品衛生責任者は1日だけの講習で取得できる資格で飲食店や特定の食品製造業にて衛生上の危害防止のため必ず有資格者が必要になります。