無線従事者とは23種類ある無線に関する資格の総称で、携帯電話やパーソナル無線など一部の簡易な無線設備以外の無線設備を操作するときに必要となる国家資格であり、総務大臣の免許を受けた者のことです。
無線局で必要となる必置義務のある資格でもあります。
無線従事者の特徴
無線従事者資格は現在全部で23種類存在し、操作範囲が異なります。
無線従事者とは
電波は通信の操作を誤ると他の通信に混信や妨害を与えることとなるため、簡易な無線設備以外の無線設備を操作する際には無線従事者である必要があります。
無線従事者とは無線設備の操作やその監督を行う者で総務大臣の免許を受けたものを言います。
総務大臣の認可を受けずに作業を行うと違法になります。
ただし主任無線従事者の監督下であれば無線従事者免許を持たなくても限られた範囲の操作はできます。
※主任無線従事者については下記で解説します
無線従事者の種類
無線従事者資格は23種類あり、分野ごとに大きくわけると総合分野、海上分野、航空分野、陸上分野、アマチュア分野にわかれます。
【総合分野】- 総合無線通信士(1~3級)
- アマチュア無線技士(1~4級)
この中でも最高峰の無線従事者資格は第一級総合無線通信士と第一級陸上無線技術士になり、この2つを持っていればすべての無線従事者の操作範囲を包含します。
また趣味として無線を楽しむにも資格が必要となり、アマチュア無線技士の資格はそのためのもので就職には向きません。
主任無線従事者になれる
かつては無線従事者しかこれら無線設備の操作を行うことができなかったのですが1990年に法律が改正され、主任無線従事者の監督下であれば無線従事者免許を持たなくても限られた操作はできるようになりました。
主任無線従事者とは無線設備の操作を監督する者でアマチュア無線技士以外の無線従事者資格を有している者の中から選任されるため、無線従事者は無線を扱う場所では無線従事者は必置義務のある資格になることもあります。
主任無線従事者として選任することができる無線従事者は過去5年間に3か月以上の実務経験があり、電波法令に違反して処分中でない必要があります。
無資格者が主任無線従事者の監督下で操作できる範囲はその主任無線従事者の操作範囲となります。
なお主任無線従事者に選任されると6か月以内に講習を受ける必要があり、その後も5年以内ごとに定期的に講習を受ける必要があります。
活躍の場はたくさんある
無線従事者は無線局において必置義務のある資格になるため就職には強い方と言えます。
ご存知の通り無線を扱う職場はたくさんあります。
飛行機、船、バス、タクシー、警察、消防、放送局、携帯電話の基地局…ざっとあげるだけでもこんなにたくさんあります。
民間企業への就職はもちろん、総合無線通信士や陸上無線技術士の資格があれば公務員になれる可能性もあります。
最も就職先が幅広くなるのは陸上無線技術士でしょう。
年収は勤務先によってかなり異なる
無線従事者はどこに就職するかでかなり年収が異なるため平均が出し辛いです。
一般の会社員とさほど変わらない職場もあれば年収1000万円以上が目指せることもあります。
他資格への影響
第一級総合無線通信士、第一級陸上無線技術士は社会保険労務士試験の受験資格を満たします。
他には第一級総合無線通信士、第一級・二級陸上無線技術士、第一級海上無線通信士には電気通信主任技術者試験(伝送交換・線路ともに)の科目免除があります。
また海技士の通信・電子通信の受験資格として船舶局無線従事者証明が必要となるのですが、総合無線通信士(1~3級)・海上無線通信士(1~3級)・海上特殊無線技士(1級)はその対象となります。
またアマチュア無線技士以外の無線従事者の免許を受けていれば甲種消防設備士試験の受験資格を満たします。
無線従事者になるには
国家試験に合格する、養成課程を修了する、学校にて無線通信に関する科目を修めて卒業する、認定講習課程を修了すること等で取得することができます。
国家試験はいずれも受験資格は特にはなく誰でも受験できます。
国家試験の合格率
総合無線通信士は非常に合格率1%~10%と非常に低く、超難関試験になっています。
陸上無線技術士は20%前後、海上無線通信士は20%~50%前後、航空無線通信士は30~40%前後になっています。
海上特殊無線技士試験、航空特殊無線技士試験、陸上特殊無線技士試験やアマチュア無線技士試験は級にはよりますが70%~80%前後のものもあり、比較的挑戦しやすい試験になっています。
養成課程を修了することで取得する
無線従事者資格の中には養成課程と言う講習を受けることで試験に合格せずとも取得することが可能になります。
対象となる無線従事者資格は以下です。
- 海上無線通信士(3級・4級)
- 航空無線通信士
- 海上特殊無線技士(1~3級・レーダー級)
- 航空特殊無線技士
- 陸上特殊無線技士(1~3級・国内電信級)
- アマチュア無線技士(2~4級)
一級陸上特殊無線技士と航空無線通信士には受講資格が必要です。
航空無線通信士は高卒以上の学力とさほど厳しくはありませんが、一級陸上特殊無線技士については所定の有資格者であることや所定の業務経歴があること、第一級陸上無線技士の選抜試験合格者など厳しくなります。
認定講習課程を修了することで取得する
無線従事者の中でも総合無線通信士、陸上無線技術士、海上無線通信士、海上特殊無線技士は、所定の業務経歴を積んで認定講習課程を修了することで、試験を受けずに他の無線従事者資格を取得することが可能になります。
- 一級総合無線通信士→一級陸上無線技術士
- 二級総合無線通信士→一級総合無線通信士、一級海上無線通信士、二級陸上無線技術士
- 三級総合無線通信士→二級総合無線通信士、二級海上無線通信士
- 二級陸上無線技術士→一級陸上無線技術士
- 一級海上特殊無線技士→三級海上無線通信士、四級海上無線通信士
- 二級海上特殊無線技士→四級海上無線通信士
業務経歴の年数は3年~7年以上となかなか長いです。
無線通信に関する科目を修めた卒業者
海上特殊無線技士、陸上特殊無線技士は学校にて無線通信に関する科目を修めて卒業することで取得することも可能です。
海上特殊無線技士については2級と3級、陸上特殊無線技士は1級~3級が取得できます。
どの資格が取得できるかは学校によって異なりますので進路選択の際にはこのあたりにも注目してみると良いと思われます。
まとめ
以上が無線従事者に関する大まかなまとめになります。
必置資格になることもある資格ではありますが、主任無線従事者は社内で育成される企業も多いですので転職に強いとまでは言えない資格ですが役立つところは多い資格です。
少しでも参考になれば幸いです。