建設機械施工技士とは、建設機械の運転や施工技術を持った監理技術者や主任技術者として現場の施工管理を行うことができる名称独占の国家資格です。
建築施工管理技士や電気工事施工管理技士などと同じ施工管理技士国家資格のひとつになります。
この記事では建設機械施工技士の仕事内容や取得方法、難易度などを詳しく解説していきます。
建設機械施工技士の特徴
この建設機械施工技士は昭和35年から行われており、施工管理技士国家資格の中で最も歴史の古い資格になっています。
建設機械施工技士の仕事内容
建設機械施工技士は、ブルドーザーや油圧ショベルなどの建設機械を使用する工事の責任者になれる国家資格です。
また建設業者はすべての工事現場に主任技術者を配置しなければならないと建設業法で定められているのですが、建設機械施工技士は土木業、とび・大工業、舗装業において主任技術者になることのできる資格になっています。
さらに発注者から直接工事を請け負った業者が下請への外注総額が4000万円以上となるときは主任技術者に代わり、監理技術者を配置する必要があるのですがこちらも土木業、とび・大工業、舗装業においては建設機械施工技士が選任の対象になっています。
また建設業者は営業所に専任技術者を配置しなければならないと建設業法で定められているのですがこちらも土木業、とび・大工業、舗装業において建設機械施工技士は選任の対象となっています。
建設機械施工技士は1級と2級が存在し、1級が上位資格となります。
ここまでに紹介した主任技術者には1級も2級もなることができますが監理技術者になれるのは1級建設機械施工技士になります。
また専任技術者においても一般建設業であれば2級建設機械施工技士も対象になりますが、特定建設業のうち指定建設業の土木工事業、とび・大工業、指定建設業の舗装工事業であれば1級建設機械施工技士が選任の対象になっています。
他資格への影響
1級建設機械施工技士技術検定に合格した者は社会保険労務士試験の受験資格を得られます。
また1級土木施工管理技士を受験するにあたって2級土木施工管理技士に合格していない指定学科以外の高卒であれば11年~11年6か月の実務経験が必要になるのですが、建設機械施工技術検定に合格している場合は実務経験の年数が9年6か月に短縮されます。
土木施工管理技士に対する影響はあまり大きな効果ではありませんが、人によっては助かることもあるかもしれません。
建設機械施工技士になるには
建設機械施工技士技術検定に合格すればOKです。受験資格として必ず実務経験が必要となります。
受験資格について
1級も2級も必ず実務経験が必要になります。試験はどちらも学科試験と実地試験があり、それぞれ受験資格があります。
まず2級から紹介しますが2級には第1種~第6種まで存在し、この中から1種目を選択して受験します。
- 第1種…ブルドーザ
- 第2種…油圧ショベル
- 第3種…モータ・グレーダ
- 第4種…ロード・ローラ
- 第5種…アスファルト・フィニッシャ
- 第6種…アースオーガ
そのため2級の実務経験は受験しようとする種目の実務経験が必要になります。
まずは2級の学科試験+実地試験の受験資格です。学歴によって異なります。
- 指定学科の大卒、指定学科の専門学校を卒業した高度専門士…受験しようとする種別に6か月以上で他の種別の経験を通算して1年以上
- 指定学科以外の大卒、指定学科以外の専門学校を卒業した高度専門士…受験しようとする種別に9か月以上で他の種別の経験を通算して1年6か月以上
- 指定学科の短大卒・高等専門学校卒、指定学科の専門学校を卒業した専門士…受験しようとする種別に1年6か月以上、または受験しようとする種別に1年以上1年6か月未満で他の種別の経験を通算して2年以上
- 指定学科以外の短大卒・高等専門学校卒、指定学科以外の専門学校を卒業した専門士…受験しようとする種別に2年以上、または受験しようとする種別に1年6か月以上2年未満で他の種別の経験を通算して3年以上
- 指定学科の高卒・専門学校卒…受験しようとする種別に2年以上、または受験しようとする種別に1年6か月以上2年未満で他の種別の経験を通算して3年以上
- 指定学科以外の高卒・専門学校卒…受験しようとする種別に3年以上、または受験しようとする種別が2年3か月以上3年未満で他の種別の経験を通算して4年6か月以上
- その他の学歴…受験しようとする種別に6年以上、または受験しようとする種別に4年以上6年未満で他の種別の経験を通算して8年以上
指定学科とは国土交通省令で定められている学科であり土木系や機械系、電気系、建築系、農業系、造園系などたくさんあります。
次に2級は学科試験のみ受験すると言う方法もありますが、これは満17歳以上であればOKです。
次に実地試験の受験資格を紹介します。
- 当年度の2級建設機械施工技士技術検定の学科試験受験者(学科試験のみ受験者を除く)
- 前年度の2級建設機械施工技士技術検定の学科試験合格者
- 平成6年~平成15年度までの2級建設機械施工技術研修修了試験合格者
次に1級の受験資格を紹介します。まず学科試験の受験資格です。
2級同様、学歴により実務経験の年数が異なります。
- 大卒、専門学校を卒業した高度専門士…指定学科であれば3年以上、指定学科以外であれば4年6か月以上
- 短大卒、高等専門学校卒、専門学校を卒業した専門士…指定学科であれば5年以上、指定学科以外であれば7年6か月以上
- 高卒、専門学校卒…指定学科であれば10年以上、指定学科以外であれば11年6か月以上
- その他の学歴…15年以上
高卒・専門学校卒、その他であれば非常に長い実務経験になりますが、すでに2級に合格している場合、短縮できる可能性がありますので確認してください。
- 2級に合格した指定学科の高卒、専門学校卒…2級の種別の1つの経験が2年以上で他の種別を通算して8年以上、または2級の種別の1つの経験が1年6か月以上2年未満で他の種別を通算して9年以上
- 2級に合格した指定学科以外の高卒、専門学校卒…2級の種別の1つの経験が3年以上で他の種別を通算して9年以上、または2級の種別の1つの経験が2年3か月以上3年未満で他の種別を通算して10年6か月以上
- その他の学歴の2級合格者…2級の種別の1つの経験が6年以上で他の種別を通算して12年以上、または2級の種別の1つの経験が4年以上6年未満で他の種別を通算して14年以上
- 2級合格後3年以上の者…専任の監理技術者による指導を受けた実務経験2年以上を含む3年以上
- 2級合格後5年以上の者…合格後5年以上
2級合格後の高卒・専門学校卒の方(①と②)については専任の主任技術者の経験が1年以上(365日)あれば、必要な実務経験を2年短縮できます。
また特殊な例ですが、実務経験に指導監督的実務経験年数が1年以上を含み、かつ5年以上の実務経験のあと専任の監理技術者による指導を受けた実務経験年数が2年以上ある指定学科の高卒・専門学校卒の方は8年以上の実務経験で1級学科試験の受験資格を満たします。
次に1級の実地試験の受験資格を紹介します。
- 当年度の1級建設機械施工技術検定の学科試験合格者
- 前年度の1級建設機械施工技術検定の学科試験合格者
また2級にすでに合格していると科目免除もありますので学歴的に実務経験が厳しくなりそうな方は段階を踏んで狙っていく方が効率的と言えるでしょう。
合格率から見れば難易度はさほど高くない!
1級の学科試験合格率は40%前後、2級の学科試験合格率は50%前後になっています。
実地試験については1級・2級ともに合格率85%前後になっています。
合格率だけみれば非常に高いですが、長い実務経験を積まなければ受験できない類の試験であることを考慮すると難易度は中より少し下程度のものになると言えます。
まとめ
以上が建設機械施工技士についての大まかなまとめになります。
建設業界は出世したり大きな現場をまかされるようになるためにどうしても資格が必要になる業界です。
実務経験があれば難易度はそこまで高くない検定ですので該当する業界で働いていらっしゃる方は資格取得を考えてみてもいいのではないでしょうか。
少しでも参考になれば幸いです。