建築物環境衛生管理技術者とは、特定建築物の維持管理が環境衛生上、適性に行われるように監督する、必置義務のある国家資格です。
通称として「ビル管理士」または「ビル管理技術者」と呼ばれ、こちらの通称の名称の方がよく知られています。
建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の特徴
特にビルメン業界で大活躍できる資格でこちらの建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)+電験3種+エネルギー管理士はビルメン三種の神器と呼ばれています。
建築物環境衛生管理技術者の仕事内容
床面積が3000㎡以上あるビルやホテル、商業施設、大学、博物館などの「特定建築物」の所有者は、その特定建築物の維持管理が環境衛生上、適性に行われるよう監督させるために、建築物環境衛生管理技術者免状を持つ者の中から建築物環境衛生管理技術者を選任しなければならないと「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」で定められています。
選任された建築物環境衛生管理技術者は清掃や害虫駆除、水道や電気設備などの建築設備の点検、クレーム対応などを行うことが仕事になり、ビルを管理するにあたり必要となる幅広い知識が要されます。
建築物環境衛生管理技術者の通称がビル管理士・ビル管理技術者であるのも納得ですね。
就職に強い必置資格!定年後も働きやすい
仕事内容の項目で紹介したように、条件に当てはまる建築物を管理する現場において建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)が絶対に必要になる必置資格であり、またビル管理士を必要とする場は多いため、就職に強い資格になっています。
主に必要となる場所がビルメンテナンス業界であり、最初の方で紹介したようにビルメンテナンス業界においてビル管理士+電験3種+エネルギー管理士はビルメン三種の神器と呼ばれるほど重要なエリート資格になっているため、ビルメン業界の就職を狙うなら要注目の資格と言えます。
またビルメンテナンス業界は比較的中高年でも受け入れられやすい業界でもあるためビル管理士は40代以上の再就職に強い資格とも言え、また経験を積むことで定年後も働きやすい資格とも言えます。
建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)になるには
講習を修了するか、試験に合格すればOKです。講習も試験も受験資格があります。
講習の受講資格
建築物環境衛生管理技術者は講習だけで取得することも可能ですが、受講するには要件を満たす必要があります。
まずは学歴による受講資格について紹介します。
- 大学の理学、医学、歯学、薬学、保健学、衛生学、工学、農学または獣医学の課程を卒業、または防衛大学校の理工学の課程を卒業、または海上保安大学校を卒業し、実務経験を1年以上有する者
- 短期大学・高等専門学校の理学、保健学、衛生学、工学または農学の課程を卒業し、実務経験を3年以上有する者
- 高等学校・中等教育学校の工業に関する学科を卒業し、実務経験を5年以上有する者
- 上記1~3以外の課程又は学科を卒業した者で、実務経験を5年以上有する者
実務経験の内容は、①~③の場合は建築物の維持管理に関する実務または環境衛生監視員としての勤務となっており、④の場合は①~③の実務に従事する者を指導監督した経験または環境衛生監視員としての勤務となっています。
次にすでにお持ちの免許(資格)による受講資格を紹介します。
- 医師(歯科・獣医師、薬剤師を除く)、一級建築士、技術士の機械・電気電子・上下水道・衛生工学部門の登録を受けた者
- 第一種冷凍機械責任者免状を受けて実務経験を1年以上有する者、また第二種冷凍機械責任者免状を受けて実務経験を2年以上有する者
- 臨床検査技師免許を受けて実務経験を2年以上有する者
- 第一種・第二種電気主任技術者免状を受けて実務経験を1年以上有する者、また第三種電気主任技術者免状を受けて実務経験を2年以上有する者
- 特級ボイラー技士免許を受けて実務経験を1年以上有する者、また一級ボイラー技士免許を受けて実務経験を4年以上有する者
- 衛生管理者免許を受けて実務経験を5年以上有する者(大学に入学することができる者、又は旧中等学校を卒業した者に限る)
①については実務経験は必要ありません。
②~⑤の実務経験の内容は、建築物の維持管理に関する実務または環境衛生監視員としての勤務となっています。
⑥の実務経験も②~⑤のものと同じですが常時1000人を超えるの労働者を使用する事業場において衛生管理者として専任されている必要があります。
試験の受験資格
試験を受験して資格を取得する場合は、以下のような建築物において環境衛生上の維持管理に関する実務経験が2年以上ある方、となっています。
建築物の例としてあげられているのは映画館、劇場、百貨店、公民館、結婚式場、市民ホール、図書館、博物館、美術館、ボーリング場等の遊技場、店舗、事務所、学校(研修所を含む)、旅館、ホテルなどになっており、多数の者が使用・利用するものでこれらに類するものも対象となっています。
そのため共同住宅や老人ホームなどは受験資格として該当しますが工場や倉庫、駐車場などは該当しません。
ご自身がお持ちの実務経験が受験資格として該当するかどうかは公益財団法人日本建築衛生管理教育センター国家試験課に直接問い合わせる必要があります。
試験の合格率から見る難易度は結構高め
試験の難易度自体は中程度と言われている建築物環境衛生管理技術者国家試験ですが、ここ10年の合格率は20%を超えることが少なくなっています。
平成20年~29年までの合格率は17.9%、18.4%、16.7%、13.3%、32.7%、10.6%、23.1%、18.9%、28.4%、13.6%と推移しています。
合格率が比較的高いときもあれば異常に低いときもあり、かなり幅がありますね。
ビル管理士試験の内容がかなり幅広く長時間にわたる試験であることや受験者の年齢層が比較的高いことも影響していると考えられているようですが、さまざまな面を考慮してもやはり決して簡単な資格ではなく、難しい類の試験と言えるのではないでしょうか。
講習の内容・試験の内容
講習を受講して取得する方はすべての講習を修了して修了証書を受け取り、申請することで厚生労働大臣から建築物環境衛生管理技術者免状が交付されます。
講習の内容は以下7科目で合計101時間の講習になり、受講料は10万8800円とかなり高額です(平成30年4月10日現在)。
- 建築物衛生行政概論(10時間)
- 建築物の構造概論(8時間)
- 建築物の環境衛生(13時間)
- 空気環境の調整(26時間)
- 給水及び排水の管理(20時間)
- 清掃(16時間)
- ねずみ、昆虫等の防除(8時間)
試験で取得される場合も科目は同じく以下7科目となります。
- 建築物衛生行政概論
- 建築物の構造概論
- 建築物の環境衛生
- 空気環境の調整
- 給水及び排水の管理
- 清掃
- ねずみ、昆虫等の防除
まとめ
以上が建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)についてのまとめになります。
講習にしろ試験にしろ取得難易度は高い資格ではありますが、複数の資格と組み合わせることによって強力となる必置資格ですので取得価値はおおいにあると言えるでしょう。
少しでも参考になれば幸いです。