臨床検査技師とは、医療機関にてさまざまな検査を行い、診断や治療の基礎データを提供する業務独占の国家資格です。
臨床検査技師の特長
病院や診療所、検査センター等が就職先になります。
臨床検査技師の仕事内容
医療機関ににて微生物学的検査、血清学的検査、血液学的検査、病理学的検査、寄生虫学的検査、生化学的検査、心電図・脳波検査などの生理学的検査までかなり幅広く検査を行い、検査に必要な採血も行うことができます。
医学の進歩と高度化に伴って、これらのような臨床検査業務は重要性を増しています。
女性比率が高い職業であることもポイントのひとつと言えます。
年収や将来性は!?AIに奪われる可能性も…
臨床検査技師の年収は470万円前後と言われています。
ただ現状として臨床検査技師は過剰気味であり、就職に強いと言える資格ではないでしょう。
また臨床検査技師の仕事内容は将来的にAIに奪われてしまう可能性のある仕事とも言えます。
そもそもかつては検査の仕事は人の手で行われていたものでしたが、臨床検査機器がどんどんと発達し、現在では自動検査機器で行われています。
同じように今度はAIが発達して行けば…臨床検査技師の仕事の大部分が奪われてしまう可能性は十分にあると言え、今後も雇用は厳しくなっていくと予想できます。
将来AIに奪われる可能性が高い仕事としてあげられているものの傾向として、単純作業や人との関わりが薄い職業があげられることが多いですが、人との関わりが深く現在人手不足である看護師ですらも、一部の仕事はAIに代替されると予想されています。しかし認定看護師や専門看護師のような専門性の強い看護師は長く残っていくのではないかと考えられます。
同様に臨床検査技師として生き残っていくには専門性の強い臨床検査技師になっていくなど工夫する必要があると言えるでしょう。これから目指そうと考える場合はこれらもしっかり理解しておく必要があります。
他資格への影響
臨床検査技師の資格を持っていて実務経験を積むことで、さまざまな衛生管理系の国家資格に影響します。
まず通称ビル管理士と呼ばれる国家資格である建築物環境衛生管理技術者は講習を修了するか試験に合格するかで取得することができるのですが、講習には受講要件があり、誰でも受講で取得できるわけではありません。
しかし臨床検査技師であれば免許を受けてから2年以上の実務経験があることでその受講資格を満たすことが可能です。
また臨床検査技師として10年以上の実務経験があれば労働衛生コンサルタント試験の受験資格を満たすことができます。
また臨床検査技師であれば作業環境測定士試験の共通科目の「衛生一般」「分析概論」が免除対象になっています。
さらに空気環境の測定の実務経験3年以上あったり、作業環境、統計及び関係法令に関する授業科目を修めて大学を卒業した場合は作業環境測定士試験の共通科目が全科目免除となります。
臨床検査技師になるには
国家試験に合格すればOKです。受験資格として必ず臨床検査に関する短大・大学等を卒業する必要があります。
受験資格について
基本的には臨床検査技師養成所にて3年以上、検査に関する勉強をしてはじめて受験資格を満たすことができます。
他にも医療系有資格者の一部も条件によっては受験することができます。
以下は厚生労働省のホームページからの引用です。
臨床検査技師国家試験の受験資格
- 大学に入学することができる者であって、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床検査技師養成所において、3年以上検査に必要な知識及び技能を修得したもの
- 大学において医学又は歯学の正規の課程を修めて卒業したもの
- 医師若しくは歯科医師
- 次のいずれかに該当する者であって、大学、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床検査技師養成所において、医用工学概論、臨床検査総論、臨床生理学、臨床化学、放射性同位元素検査技術学及び医療安全管理学の各科目を修めたもの
- 外国の検査に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で臨床検査技師の免許に相当する免許を受けた者であって、厚生労働大臣が①に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの
国家試験の合格率は?
臨床検査技師国家試験の合格率はだいたい70%~80%を推移しています。
医療系の国家試験の多くは受験資格として学校を卒業する必要があり、その代わりと言ってはなんですが試験の合格率は高くなってる傾向にあり、臨床検査技師もわりと例に漏れない形になっているかと思われます。
ただしこれはあくまで全国平均の合格率であり、実際は卒業した学校によって合格率は大きく変わるようです。学校選びは慎重にしなければなりませんね。
まとめ
以上が臨床検査技師に関する大まかなまとめになります。
将来性としては少し厳しいところはありますが近年は動物病院などの求人も見られ、仕事の幅が広がっています。
少しでも参考になれば幸いです。